「経済産業省の補助金を使いたいけれど、複雑で自社に使えるものがどれなのかわからない。」「制度名も要件もバラバラで、そもそも本当に経済産業省の補助金なのか?」と感じていませんか。
エコキュートや蓄電池、ものづくり、リスキリングと、検索するほど別々の情報が出てきて混乱する人もいるでしょう。
補助金をよく理解していないと、使える制度を見逃したり、管轄違いの窓口に問い合わせて時間を無駄にしたりしかねません。
この記事では、経済産業省の補助金の内容や申請方法について解説します。
経済産業省の補助金の基本的な仕組み

補助金は、国が政策目的に沿った事業者に交付する返済不要の資金です。経済産業省の補助金は、事業者向け、省エネ設備向け、産業政策向けに分けて考えると整理しやすくなるでしょう。多くの補助金には採択審査があり、原則として事業実施後の後払い、つまり精算払いで受け取ります。
補助金を探すときは中小企業庁のミラサポplus、電子申請システムのJグランツなどを活用できます。
経済産業省の補助金の対象は事業者が中心で、個人事業主は多くの補助金で対象になります。省エネ設備関連では、住宅の所有者(個人)も対象になります。
参照:
ミラサポplus 補助金・助成金 中小企業支援サイト|経済産業省 中小企業庁
補助金と助成金は「もらいやすさ」と「審査」で違う
補助金は主に経済産業省、助成金は主に厚生労働省が管轄しています。
助成金は要件を満たせば原則受給できますが、補助金は採択審査があり、申請しても必ず受け取れるわけではありません。ここが大きな違いです。
公募期間は制度により変わるので事前に確認しておきましょう。金額は助成金より大きめの傾向です。ただし、名称と性質が一致しない制度もあるため、名前だけで判断しないほうが安全です。
個人事業主も使える事業者向け補助金一覧

事業者向けは、ものづくり補助金や持続化補助金などが中心で、個人事業主も対象になり、設備投資にも活用できます。
事業者向けの主要な制度を、目的別に一覧で押さえておくと選びやすくなります。
| 目的 | 使える制度 |
| 設備投資・試作開発 | 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 |
| IT・AI導入 | デジタル化・AI導入補助金 |
| 小規模な取り組み | 小規模事業者持続化補助金 |
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は、新製品・新サービスの開発や生産性向上のための設備投資を支える制度です。対象経費は機械装置費やシステム構築費が中心になります。
2026年には、新たに「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」が創設されました。技術的革新性のある製品・サービスの開発や、新市場・高付加価値事業への進出などに必要な設備投資等を支援する制度です。
参照:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公式ホームページ
デジタル化・AI導入補助金
デジタル化・AI導入補助金は、「IT導入補助金」から名称が変わった制度です。枠組みは引き継がれており、まったくの別制度ではありません。
ITツール導入に加え、AI活用による省力化を後押しする方向へ重点が移っています。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、個人事業主を含む小規模事業者の販路開拓を支える制度です。
通常枠の上限は50万円で、インボイス特例と賃金引上げ特例の併用や創業型なら最大250万円になります。ウェブサイト制作なども対象経費で、商工会・商工会議所のサポートを受けながら経営計画書を作って申請します。
人手不足に悩む場合は、IoT・ロボットなどの省力化設備を支える中小企業省力化投資補助金を検討してください。
参照:
省エネ設備の補助金

省エネ化を進める際は、エコキュート、LED照明、蓄電池などの設備導入に使える補助金があります。対象となる設備や申請方法は制度ごとに異なるため、導入したい設備に対応する補助金を確認しましょう。
リフォームの際に検討したいエコキュート
エコキュートの導入には給湯省エネ2026事業が使え、基本要件を満たす機種で基本額として1台7万円が補助されます。
補助金を受けるには、要件を満たした対象機種を選ぶ必要があります。導入前に、対象製品かどうかと申請の流れを確認しておくことが大切です。
LED照明も省エネ系補助金の対象
2026年の「省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)」では、SIIに登録された一定の要件を満たす「制御機能付きLED照明器具」などが補助対象となります。
これは、事業者が古い設備を省エネ性能の高いものへ入れ替える費用の一部を、国が補助する制度です。つまり、家庭用ではなく、工場・店舗・オフィスの照明をまとめて省エネ化したい事業者のための制度です。
参照:各種支援制度 | 省エネ関連情報 | 省エネポータルサイト
蓄電池はDR事業が中心
蓄電池の補助金は、経済産業省が所管しSIIが執行するDR家庭用蓄電池事業が中心です。DRとは、「デマンドレスポンス(Demand Response)」の略称で、電力の需要と供給のバランスに合わせて、利用者側の電力消費を調整する仕組みです。
ただし、2026年5月29日(金)に交付申請額の合計額が予算に達したため、終了しました。
参照:令和7年度補正 DR家庭用蓄電池事業|環境共創イニシアチブ(SII)
半導体・EV関連の主な補助金一覧
半導体は経済産業省が主導する大型の産業政策、EVはクリーンエネルギー自動車補助金が中心です。
国の重点産業である半導体とEVの補助金は、次のようになります。
| 分野 | 主な制度・支援 | 特徴 |
| 半導体 | 経済安全保障推進法に基づくサプライチェーン強靭化支援 | 数千億円規模。従来型半導体は投資下限が原則300億円 |
| EV | クリーンエネルギー自動車(CEV)導入促進補助金 | EVで最大130万円の補助金 |
| 充電設備 | 充電・充てん設備等導入促進補助金 | EV充電器・V2Hなどの設置を支援 |
半導体は経済安全保障推進法で特定重要物資に指定され、サプライチェーンの強靭化などに予算が投じられています。ただし、従来型半導体は投資規模の下限が原則300億円といった大型案件が中心です。
一方、クリーンエネルギー自動車導入促進補助金では、EVだけでなく、PHEV(プラグインハイブリッド車)やFCV(燃料電池自動車)も対象に含まれます。なお、現行のCEV補助金では、事業用車両は対象外とされています。対象となる車両や補助額は、次世代自動車振興センターの最新の対象車両一覧で確認する必要があります。
参照:
令和7年度補正予算「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」経済産業省
令和7年度補正予算「クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てん設備等導入促進補助金」 (METI/経済産業省)
従業員のリスキリングには助成金の活用を検討する
厚生労働省が管轄している人材開発支援助成金の「事業展開等リスキリング支援コース」は、新規事業などに対応するため、従業員に新しい知識やスキルを習得させる企業向けの助成制度です。
対象となるのは、今後の職務に必要な専門知識・技能を学ぶ訓練です。例えば、デジタル化に対応するITスキル、新規事業に必要な専門知識に関する研修などが該当します。
参照:
人材開発支援助成金 (事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)
申請方法と注意点
事業者向けの補助金は電子申請が基本です。手順自体はシンプルですが、準備に時間がかかるため、公募が始まる前から動くと安心です。
ステップ1 GビズIDプライムを取得する
多くの事業者向け補助金の電子申請では、GビズIDプライムが必要になります。取得に時間がかかる場合があるため、公募前に準備しておくと安心です。
ステップ2 Jグランツで申請し後払いで受け取る
GビズIDを取得した後の申請方法は、補助金ごとに異なります。Jグランツを利用する制度もありますが、各補助金の専用申請システムを利用する場合もあるため、公募要領や公式サイトで申請方法を確認しましょう。
その後、事業を実施し、実績報告や検査を経て、後払い(精算払い)で補助金を受け取る流れです。
なお、補助金は「申請すれば必ずもらえるわけではない」という点に注意してください。
受給後の報告義務
補助金は受け取って終わりではありません。多くの制度では、帳簿や証憑の保管、事業の状況の報告などが求められます。
なお、補助金の不正受給をした場合、交付決定の取消や返還命令に加え、実名公表といった重い処分の対象になります。
まとめ:自社に合う補助金を見つけたら詳細をしっかり確認する
経済産業省の補助金は種類が多いため、目的別に整理すると自社に合う制度を見つけやすくなります。設備投資、販路開拓、省エネ設備、半導体、EVなど、まずは何に使いたいのかを明確にすることが出発点です。
ただし、省エネ設備やリスキリング関連の制度は、他省庁や執行団体が関わる場合もあります。制度名だけで判断せず、対象者、対象経費、申請期限、管轄を公式サイトで確認しましょう。
自社が対象になるのか、どの制度を選ぶべきか迷う場合は、専門家への相談も有効です。人材育成やリスキリングに関わる助成金の申請サポートは、社会保険労務士法人グロースアシストの公式ウェブサイトをご確認ください。