「事業再構築補助金が終了するという噂を聞いたが、本当なのだろうか」
「今後、新分野への展開や業態転換を支援してくれる制度はあるのか」
「令和7年度、8年度に向けて、どのような補助金制度へ再編されるのか知りたい」

ポストコロナの支援策として、様々な企業のチャレンジを支えてきた事業再構築補助金。しかし、社会経済活動の落ち着きに伴い、これまでの救済対策から構造的な賃上げを伴う成長対策へと国の支援方針は大きく舵を切っています。その影響により、事業再構築補助金もひとつの役割を終え、新たな後継制度へと引き継がれることになりました。

現在、設備投資や新規事業を検討している経営者にとって、旧制度の終了を踏まえたうえで、後継となる「中小企業新事業進出補助金(以下、新事業進出補助金)」や、ものづくり補助金と統合される情報を正しく把握することです。

そこでこの記事では、事業再構築補助金の後継制度の概要、主な変更点、最新の公募スケジュールのほか、審査で重視される採択傾向について、まとめて紹介します。これからの経営戦略を左右する最新情報にも触れていますので、ぜひ最後までご一読ください。

事業再構築補助金の後継とは

事業再構築補助金は、2025年3月の第13回公募をもって、当初の形としての運用を事実上終了しました。令和8年度(2026年)現在、事業再構築補助金が目指した方向性を継承しながら、より成長性と賃上げを重視する形で後継制度が誕生しました。

現在の事業再構築補助金は継続されるのか

結論から言えば、これまでの事業再構築補助金という名称で続いてきた大規模な公募は終了しています。ただし、過去の実績をベースに、新たな支援機能が始動中です。

政府は令和7年度(2025年度)から、既存の「事業再構築補助金」と「ものづくり補助金」を統合・再編し、「中小企業新事業進出・ものづくり補助金(通称:新事業進出補助金)」として一本化する方針を打ち出しました。

理由として、コロナ禍による売上減少の回復を目指し運用されてきた、事業再構築補助金の後ろ向きな要件を撤廃し、新市場への進出や高付加価値化を目指す企業へより前向きに予算を集中させるためです。したがって、補助金の名称は変わりましたが、思い切った事業の組み替えや新分野への挑戦を支援する仕組みは、新制度の中にしっかりと息づいています。

参照:【令和7年度】中小企業新事業進出促進補助金の概要と事業再構築補助金との違いをわかりやすく解説 _ ビジネス成功ガイド 

後継となる新制度の概要

後継制度の柱となる「新事業進出補助金」の概要を整理してお伝えします。最大の特徴は、これまでの再構築から、さらに一歩進んだ新事業への進出や付加価値の創出が求められるようになった点です。

1.制度の目的

中小企業が、既存事業とは異なる新しい製品・サービスの開発や新市場・新顧客層の開拓を行うための設備投資を支援し、あわせて構造的な賃上げを実現することが目的です。

2.主要な申請枠

・通常型:新事業への進出や生産プロセスの改善を行うもの。
・大幅賃上げ特例:より高い賃上げ目標を掲げる場合に補助上限額を上乗せするもの。

3.補助上限額と補助率

従業員数に応じて変動しますが、概ね2,500万円から最大9,000万円規模の大型支援が特色となっています。補助率は原則2分の1で、一部の要件を満たす場合に3分の2へ引き上げられます。

従来の事業再構築補助金と比べ、審査では、なぜその市場へ進出するのか、その事業によってどれだけ高い付加価値が生み出されるのか、などの論理的な裏付けがより厳格に問われるようになっています。

参照:新事業進出補助金は事業再構築補助金の後継制度!変更点・違い・活用ポイントを徹底解説|株式会社Planbase

旧制度の受付はいつまでか

旧来の事業再構築補助金の枠組みで申請できる最終的な期限が気になる事業者の方が多いのではないでしょうか。

新事業進出補助金の最新の公募状況とスケジュール

令和8年度(2026年)3月現在、新事業進出補助金の運用へと完全に切り替わっています。現在のリアルタイムな公募状況としては、年3回程度の定期的な募集となっており、直近の動向は以下の通りです。

・第1回公募:2025年4月〜7月(終了)
・第2回公募:2025年9月〜12月(終了)
・第3回公募:2026年1月より開始、3月下旬締切(受付中)

このように、旧制度の終了と同時に新制度がシームレスに始まっており、申請を検討している事業者は、現在公募されている新事業進出補助金の公募要領に基づき準備を進めることが重要です。

また、令和7年度補正予算案によって、今後はさらに省力化(人手不足対策)や輸出(海外展開)の要素を強めたコースの拡充が予定されています。スケジュールは常に最新の事務局公式ホームページでチェックしましょう。

参照:2026年新事業進出補助金 公募要領発表【3_26締切】 _ 補助金・助成金採択支援どっとコム

新しい補助金の審査における採択傾向

旧制度から新制度へ移行したことで、採択されるための評価のポイントも大きく変化しています。最近の採択案件を分析すると、以下の3つの傾向が目立って見られます。

1.売上減少より成長性を重視

以前は、コロナによって売上がどのくらい減ったかが入り口でしたが、現在は進出する市場がどれだけ伸びているか、自社の強みと新事業にどのようなシナジー(相乗効果)があるか、といった前向きな視点が重要視されます。

2.省力化・人手不足対策との連動が大切

売上アップだけではなく、最新設備の導入によって労働生産性をいかに向上させるかという視点が欠かせません。具体的には、人手不足を解消するためのAI導入や自動化ロボットの活用などが高く評価されます。

3.オンラインでの口頭審査の本格導入

後継制度では、一定の基準を満たした申請者に対し、オンラインによる口頭審査が実施されます。経営者が自らの事業計画として内容をしっかりと理解し、なぜこの投資が必要なのか、熱意と納得感を自分の言葉で説明できれば、審査員に強くアピールできます。

参照:事業再構築補助金 第12回採択結果から読み解く成功のカギ – 補助くる 

後継の補助金における主な変更点

事業再構築補助金から新制度へ移行した際、申請手続きを進めるうえで特に注意しなければならない変更点がいくつかあります。後継制度での変更点を知らずに以前の計画書を使い回すと、不採択のリスクが非常に高まりますので注意が必要です。

対象経費や収益納付に関する変更点

新制度では、補助対象となる経費の範囲や、事業実施後のルールが整理されました。

以下で主な変更点を3つ紹介します。

1.建物費の制限

旧制度では比較的柔軟に認められていた建物の新築ですが、新制度では原則として改修が中心となりました。新築が認められるケースは、代替性がない場合に限るなど、極めて限定的になっています。土地の購入費が対象外である点は従来通りで変わりません。

2.広告宣伝・販売促進費の重要性

新市場への進出が目的であるため、製品を宣伝するための広告費や展示会出展費などが、より戦略的に組み込まれている必要があります。設備だけ入れて終わりではなく、どうやって売るかまでを一体とした経費計上が求められます。

3.収益納付の厳格化

補助金を使って実施した事業で自己負担額を超える利益が出た場合、受け取った補助金額を上限に国に返還する収益納付の手続きがより明確化されました。背景として、公金を使って特定の企業だけが過度に儲けすぎることのないといった原則に基づいています。

参照:事業再構築補助金の収益納付とは?計算方法も解説 _ 事業再構築補助金
参照:【2026年】中小企業新事業進出補助金とは?第3回公募の主な変更点と審査のポイントもわかりやすく解説 – 起業の「わからない」を「できる」に

賃上げ要件の義務化と返還ペナルティ

新制度において、最も重要な変更点は賃上げ要件の厳格化です。

ここからは、経営者にとって最大のプレッシャーと言える賃上げ要件のポイントを見ていきましょう。

1.必須となる賃上げ水準

新事業進出補助金では、補助事業終了後3〜5年の事業計画期間において、以下の達成が必須とされています。

・給与支給総額の年平均成長率(CAGR)が2.5パーセント以上増加。
・事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準に引き上げ。

以前の事業再構築補助金やものづくり補助金では1.5パーセント程度が指標とされることが多かったため、1パーセントの上乗せされることになり、毎年の固定費増加として重いハードルになります。なお、給与支給総額の計算には、昇給だけでなく新規雇用による人件費増も含まれます。

2.目標未達時の返還規定

かつて、補助金の要件には努力目標に近い部分もありましたが、後継制度では非常にシビアになっています。もし天災などの正当な理由がなく賃上げ目標を達成できなかった場合、ペナルティとして受給した補助金の一部または全部を国に返還しなければならないと明記されています。一度設備投資に投じた資金を数年後に一括返還する事態になれば、キャッシュフローに致命的な影響を及ぼしかねません。そのため、単に採択されるための数字ではなく、現実的かつ持続可能な人件費計画の策定が不可欠です。

3.加点から必須条件への移行

以前は賃上げを掲げるだけで加点され、採択に有利になるといった任意項目に近い扱いでしたが、後継制度では申請枠の運用にとって重要な必須要件となっています。つまり、賃上げを伴わない設備投資計画はそもそも受け付けられません。国が賃上げ要件を厳格化した背景には、深刻な採用難が続く中、補助金を活用した生産性向上によって従業員の待遇を改善し、人材を確保して勝ち残れる強い組織づくりを目指して欲しいという強いメッセージが込められています。

また、補助事業終了後も5年間にわたる「事業化状況報告」を通じて、賃上げの実施状況は厳密にモニタリングされます。補助金をもらうことだけが目的になることのないよう、導入設備による収益向上を前提とした、持続可能な賃金の仕組みを考える意識が大切です。経営者として、新市場進出による攻めの投資と、賃上げ・返還リスクという守りのバランスをしっかり見極めることが、今の時代には欠かせない補助金活用といえるでしょう。

参照:【2026年】中小企業新事業進出補助金とは?第3回公募の主な変更点と審査のポイントもわかりやすく解説 – 起業の「わからない」を「できる」に
参照:新事業進出補助金の賃上げ要件とは?【補助金返還ペナルティ】 – つなぐサポート合同会社 広島県福山市 児山中小企業診断士

【まとめ】制度再編をチャンスに変えるグロースアシストの伴走支援

事業再構築補助金は、後継制度である「中小企業新事業進出補助金」を中心とした新しい支援枠組みへと統合・発展しました。今回、補助金関連で大きな制度再編が起きた背景には、国はもはやコロナの救済ではなく、未来に向けた新市場への進出と賃上げによる従業員への還元をはっきりと求めていることがうかがえます。

補助金制度の移行期にある現在、これまでのように、もらえる補助金を探すのではなく、新制度の厳しい要件に耐えうる、強固なビジネスモデルを再構築する意識変革が必要です。特に年率2.5パーセントの賃上げという重いプレッシャーが生まれたことで、設備導入による革新的な生産性向上が求められます。

社会保険労務士法人グロースアシストは、補助金申請という「点」の支援に留まらず、企業の成長を長期的に支える「線」のイメージで御社の伴走支援を行います。

●新制度に即した「戦略的事業計画」の策定

事業再構築補助金のノウハウを継承しつつ、新事業進出補助金の新市場要件や付加価値向上をクリアするための精緻な計画書作成を支援します。

●社労士の専門性を活かした賃上げ・労務管理の最適化

返還ペナルティのリスクを回避するため、法的に正しく、かつ経営を圧迫しない持続可能な賃金計画のアドバイスを行います。

●実績報告から5年間のフォローアップまで完全対応

煩雑な証憑管理から、採択後の「事業化状況報告」までを徹底サポート。確実にキャッシュを確保し、事業の成功を共に目指します。

制度が複雑化し、審査が難化している今だからこそ、補助金のプロの知見を活用することが、採択への実現と企業の安定成長にとって欠かせないポイントです。自社の構想が後継制度の対象になるのか、まずはお気軽にご相談ください。

詳しくは公式ウェブサイトをご確認ください。