「個人事業主でも、数千万円規模の事業再構築補助金に申し込めるのだろうか」
「従業員がいないフリーランスだが、新事業の設備投資を支援してもらえるのか」
「確定申告が白色申告や、開業して間もない場合でも対象になるのか知りたい」
大規模な設備投資や業態転換を支援する事業再構築補助金は支援額が大きいため、中堅企業や大規模な法人が対象ではないか、というイメージを持たれがちです。しかし、個人事業主も中小企業者として本補助金の対象に含まれています。
実際に、これまでの公募では飲食店、美容院、学習塾をはじめ、個人経営の製造業やITフリーランスたちが本補助金を活用し、ビジネスモデルの抜本的な転換に成功しています。ただし、個人事業主には法人とは異なる書類準備や、独特な審査ポイントがあるのも事実です。
そこでこの記事では、個人事業主が事業再構築補助金を活用するための条件、狙える補助金額、必要書類に触れた上で、採択率を高めるための具体的な申請ステップを解説します。令和8年度からの制度統合で新事業進出・ものづくり補助金へ再編される情報もまとめていますので、最後までご一読ください。
事業再構築補助金は個人事業主でも活用できる!制度の対象とメリット

事業再構築補助金は、中小企業による新しいチャレンジを国が応援する制度です。なお、株式会社や合同会社といった法人だけでなく、個人事業主やフリーランス、ひとり社長として活動されている方も、補助対象となっています。
ひとり社長やフリーランスも中小企業者として申請が可能
事業再構築補助金の公募要領を見ると、補助対象者として「日本国内に本社を有する中小企業者等」と明記されています。この中小企業者には、資本金や従業員数の基準を満たす会社だけでなく、個人事業主も含まれます。つまり、従業員を雇用している場合はもちろん、代表者一人のみで活動しているひとり社長やフリーランスの方であっても、確定申告を行い、事業実態を証明できれば申請が可能です。
個人事業主が事業再構築補助金を活用する最大のメリットは、自己資金や融資だけでは踏み切るのが難しいハイリスクな投資に対して、最大で数千万円という国からの公的なバックアップが得られる点です。個人レベルでは不可能に近かった大規模な設備導入や店舗改装、デジタルプラットフォームの構築などが現実的に手が届くレベルとなります。
参照:個人事業主は事業再構築補助金の対象?上限額はいくら?条件や手続きを解説 _ マネーフォワード クラウド確定申告
飲食店やサービス業など個人事業主の採択事例から学ぶ活用イメージ
個人事業主がどのような形で再構築を実現しているのか、具体的な採択事例からイメージを膨らませてみましょう。
1.飲食店(例:無人販売所の導入・新規顧客の獲得)
ハンバーガーショップが店頭に無人冷凍販売所を導入した事例があります。営業時間に縛られず、既存の来店客以外にも商品を届けることが可能になり、新規事業としての収益性と革新性を評価されました。
また、ハラール(イスラム教の戒律に則った食事)に配慮したキッチン事業を展開し、インバウンド需要や多様な食文化に応えるフードダイバーシティを実現する計画。社会的なニーズの変化を的確に捉えた再構築として注目されています。
2.製造業(例:半導体市場への新規参入・光学系検査装置分野への展開)
これまで培った金属加工や部品製造の技術を活かし、半導体組み立て装置部品の製造へシフトしたケースです。世界的に需要が拡大している半導体製造業市場へ足場を移す計画は、事業の持続可能性の観点から高く評価されています。
雇用拡大と生産体制の強化を同時に行い、高度な精度が求められる光学系検査装置市場へ製品を展開する事例もあります。既存の設備をただ更新するのではなく、新市場向けの専用ラインを構築する新分野展開の好例です。
上記のケースに共通しているのは、ただ単に現行の業務を楽にする設備を買うといった目的ではなく、新しい製品・サービスを作り、今までとは異なる顧客に届けるという一歩踏み出した特色がある点です。
参照:事業再構築補助金は個人事業主・フリーランスでも利用可能!申請時のポイントもご紹介
参照:『事業再構築補助金 公募要領 (第13回)』
参照:補助金交付候補者の採択結果 _ 事業再構築補助金
参照:必須申請要件 _ 事業再構築補助金
個人事業主が申請前に確認すべき必須条件と確定申告の注意点

個人事業主が事業再構築補助金を申請する際、公的な証明書類の準備で最初につまずきやすくなっています。法人の決算書とは異なり、個人事業主の場合、税務署に提出した確定申告書の内容が審査のベースとなるのがポイントです。
青色申告、白色申告で異なる売上減少の証明書類と収受印の重要性
コロナ回復加速化枠などに申請する場合、コロナ禍や物価高騰の影響で売上が減少していることを証明しなければなりません。この際、個人事業主は申告方法によって提出書類が異なります。
・青色申告者の場合
「所得税青色申告決算書」の控え(1〜4ページすべて)を提出します。決算書には月別の売上高が明記されているため、比較対象となる月(2019年〜2021年の同月など)との減少率を簡単に証明できます。
・白色申告者の場合
月別の売上が記載された公的書類がないため、売上台帳や帳面、会計ソフトから出力した試算表などを併せて提出する必要があります。白色申告は青色申告に比べて売上推移の証明が煩雑になりやすく、事務局からの差し戻しリスクも高いため、より丁寧な準備が大切です。
このほか、確定申告書に収受印(税務署の受付印)があるか、e-Taxであれば受信通知(メール詳細)が添付されているかに注意しましょう。確認できない場合、内容が正しくても形式不備で不採択となります。
参照:個人事業主も対象?必要書類も解説 _ 事業再構築補助金 最新コラム _ シェアビジョン株式会社
付加価値額の向上要件と新規開業特例が適用される条件
申請者全員に共通する必須要件は、付加価値額の向上です。枠により異なりますが、事業終了後3〜5年で、事業者全体の付加価値額を年率平均3.0〜5.0%以上アップさせる計画を立てる必要があります。個人事業主の場合、付加価値額は以下の式で算出します。
◎付加価値額 = 営業利益 + 人件費 + 減価償却費
注意点として、個人事業主の人件費には、代表者自身の所得、つまり生活費は含まれません。家族専従者給与や雇用スタッフへの給与のみが対象です。従業員を雇っていない場合は、営業利益と減価償却費の合計を増やす計画を立てることになります。
また、2019年当時はまだサラリーマンで、最近開業したばかりという方はどうなるのでしょうか。事務局では、新規開業特例を設けており、一定の条件を満たせば、開業直後の数ヶ月の平均売上をベースに比較することが認められるケースがあります。ただし、この特例を利用するには開業届の写しに加え、事業実態を証明するより詳細な書類が求められるため、認定支援機関との綿密な調整が不可欠です。
参照:【第10回】事業再構築補助金を徹底解説!申請要件・条件がスグわかる | スマート補助金
いくらもらえる?個人事業主が狙える補助上限額と補助率の一覧

個人事業主であっても、申請する申請枠(コース)を厳選することで、法人と同レベルの高額な補助金を受けることが可能です。
成長分野進出枠やコロナ回復加速化枠など、枠ごとの金額を整理
最新の公募(第13回など)における個人事業主(従業員5人以下を想定)の補助条件は以下の通りです。
1.成長分野進出枠(通常類型)
・補助上限:1,500万円(従業員数により増減)
・補助率:原則1/2(一定の条件で2/3に引き上げ)
・特徴:DX、グリーンなど今後成長が見込まれる市場への進出を支援。売上減少要件が不要なため、現在は好調だが将来に備えて業態転換したい方にぴったりです。
2.コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)
・補助上限:500万円〜1,500万円
・補助率:3/4(非常に高い補助率)
・特徴:売上が減少している、または最低賃金近くで雇用している事業者を厚く支援。自己負担を最小限に抑えたい個人事業主に最適です。
不採択を回避する!具体的な申請方法と事業計画書作成のコツ
個人事業主は法人のように経営企画部や経営戦略室などがあるわけではありません。代表者一人が本業と並行し、煩雑な申請準備を進めるリソースがない方も多いのではないでしょうか。不採択になって、骨折り損をしないため、審査員の視点を押さえながら申請を効率的に進めることが大切です。
GビズIDの取得からJグランツでの電子申請完了までのステップ
申請はすべて、電子申請システム「Jグランツ」で行われます。
1.GビズIDプライムアカウントの取得
GビズIDの取得は、補助金申請の第一歩です。印鑑証明書を郵送するなど、アナログのやりとりが発生しますので、アカウント発行までに2〜3週間かかります。真っ先に手続きしましょう。
2.認定経営革新等支援機関の選定
事業再構築補助金では、銀行、商工会議所、社労士など専門家と一緒に計画を作ることが求められます。
3.事業計画書の作成(最大15枚)
「なぜこの新事業なのか」「他社との差別化要素は何か」「将来の収支予測は妥当か」といった観点から、グラフや写真を用いて説明します。審査員の立場になって、見やすい資料づくりを意識してください。市場データや競合分析など、客観的な証拠をどれだけ盛り込めるかが、採択率を分けるポイントです。
4.必要書類の電子データ化
確定申告書、納税証明書、ミラサポplusの事業財務情報などをPDF化します。不鮮明なデータは不受理となるため、スマートフォンでの撮影はできるだけ避け、スキャナーを使用してください。
5.電子申請の送信作業
締切当日はサーバーが重くなります。送信エラーを避けるため、締切の3日前には送信を完了させるスケジュールで作業しましょう。
参照:【事業再構築補助金】個人事業主でも申請できる?申請方法を徹底解説 – アクセルパートナーズ
【まとめ】個人事業主の再挑戦を成功へ導くグロースアシストの伴走支援
事業再構築補助金は、個人事業主がこれまでのビジネスの枠を超え、大きく飛躍するための大きなチャンスです。しかし、従来の募集がいつまで続くのかについては注意がしなければなりません。令和8年度からは国の補助金制度が刷新され、事業再構築補助金は「新事業進出・ものづくり補助金」へと統合・再編されることが決まっています。
制度の名称や枠組みが変わっても、事業の革新性や賃上げへの可能性が重視されるという本質的な審査方針に大きな変更はないと予想されます。今後の移行期において、今のうちに事業再構築補助金のノウハウを把握し、魅力ある経営計画を立てておくことは、将来的な新制度活用においても有利に働きます。
社会保険労務士法人グロースアシストは、補助金活用に伴う労務面・賃上げ対応・実施体制の整理・証憑管理体制の整備を支援しています。
●社労士ならではの労務・賃上げ対応の整理支援
補助金活用に伴う賃上げ対応や雇用管理について、コンプライアンスを踏まえながら、労務面・体制整備面から必要な整理を支援します。
●実績報告・証憑管理の伴走支援
採択後の証憑管理や実績報告についても、継続してサポートします。
●次世代制度へのスムーズな橋渡し
制度統合の最新動向を常にキャッチアップし、今の挑戦が将来のさらなる成長に繋がるよう、長期的な視点でのアドバイスを提供します。
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