業務改善助成金で、車両購入が助成対象になるのか、疑問をもつ事業者も多いことでしょう。
社用車や福祉車両の導入を検討している場合、「業務改善助成金で車両購入は認められるのか」「中古車でも助成対象になるのか」など、制度の条件が分かりにくいと感じます。
本記事では、業務改善助成金で車両購入が助成対象になる条件や、介護業や建設業での事例などを解説します。自社で活用できるか検討する際の参考にしてください。
業務改善助成金とは?車両購入に活用できる返済不要の制度
業務改善助成金は、最低賃金の引き上げと生産性向上を支援する制度です。一定の要件を満たし、交付決定を受けたうえで設備投資と賃上げを行った場合に、設備導入費用の一部が助成される制度です。なお、令和8年度の交付申請受付開始日は令和8年9月1日とされています。
助成金は、返済不要の公的支援制度です。一定の条件を満たして申請が認められれば、設備導入にかかった費用の一部が支給されます。
車両購入が対象となる可能性もあるため、制度の基本を解説します。
雇用・労働業務改善助成金の制度概要
業務改善助成金は、中小企業や小規模事業者の生産性向上を支援するとともに、事業場内最低賃金の引き上げを促進する制度です。
設備投資などの取り組みを行い、事業場内で最も低い賃金を一定額以上引き上げた場合、その費用の一部が助成されます。
制度を所管しているのは厚生労働省で、申請や相談の窓口は事業所所在地を管轄する都道府県労働局です。事業者は労働局へ計画を提出し、設備導入と賃上げを実施した後に支給申請を行います。
対象となるのは、主に中小企業や小規模事業者です。制度では、賃金の引き上げと設備投資を組み合わせることで、労働環境の改善と業務効率化の両立を目指します。
助成対象となる設備投資の範囲
業務改善助成金では、生産性向上や労働能率の改善につながる設備投資が助成対象になります。設備導入によって業務効率が向上し、従業員の負担軽減や作業時間の短縮につながることが重要です。
助成対象となる設備投資の例には、次のようなものがあります。
- 業務管理システムやPOSシステムの導入
- 作業効率を高める機械設備の導入
- 業務の自動化につながる設備投資
- 作業環境を改善する設備の整備
導入する設備によって、業務効率がどのように向上するのかを説明できることが重要です。
機械設備の導入として認められるケース
業務改善助成金では、設備投資によって業務効率の改善や労働時間の削減が見込まれる場合、助成対象として認められます。機械設備の導入により、作業工程が改善される取り組みは、制度の趣旨に合致すると判断されるためです。
業種によっては、業務に必要な車両が機械設備の導入として認められるケースもあります。ただし、すべての車両購入が助成対象になるわけではありません。業務改善との関連性や生産性向上の効果が明確であることが重要です。
業務改善助成金で車両購入は助成対象になる?

業務改善助成金で車両購入が助成対象になるかは、導入する車両が業務改善や生産性向上につながるかによって判断されます。
すべての車両が対象になるわけではありません。業務効率の改善に役立つ設備として認められた場合に助成対象となります。
車両購入が認められる条件を解説します。
業務改善助成金で車両購入が助成対象となる基本条件
業務改善助成金では、車両購入についても、業務改善や生産性向上との関連性が明確で、制度要件に合致する場合には、助成対象となる可能性があります。ただし、単に車両を購入するだけでは対象になりません。
車両の導入によって業務効率が向上し、作業時間の短縮や従業員の負担軽減につながることが重要です。
主な判断ポイントは次のとおりです。
- 業務効率や生産性の向上につながる
- 労働時間の削減や作業負担の軽減が見込まれる
- 業務に必要な設備として使用される
例えば、配送業務の効率化や現場作業の移動時間の短縮など、業務改善の効果が説明できる場合には、車両購入が助成対象として認められる可能性があります。
社用車の車両購入が認められるケース
社用車であっても、業務改善につながる設備として位置付けられる場合には助成対象となる可能性があります。
業務に直接使用される車両であり、生産性向上の効果が明確な場合は対象として認められることがあります。
例えば、次のようなケースです。
- 現場作業の効率化を目的とした作業車両
- 配送業務の効率化を目的とした業務用車両
- 介護サービスの送迎業務で使用する車両
車両が業務に必要な設備として使用される場合には、機械設備の導入と同様に評価されます。ただし、営業活動のための移動用車両など、業務改善との関連性が明確でない社用車は助成対象とならない場合もあります。
中古車の車両購入は助成対象になるのか
業務改善助成金では、中古車の車両購入が必ずしも対象外になるわけではありません。
設備投資として必要であり、業務改善につながることが説明できれば、中古車でも助成対象として認められます。
ただし、中古車を導入する場合でも、次のような点が確認されます。
- 業務改善のために必要な設備であること
- 車両導入によって生産性向上が見込まれること
- 設備投資として合理性があること
中古車を導入する場合でも、業務効率の向上や作業負担の軽減など、具体的な改善効果を説明できることが重要です。
業務改善助成金で車両購入が認められた事例

厚生労働省が公開している、業務改善助成金の事例集では、設備導入によって作業時間の短縮や労働負担の軽減を実現した取り組みが紹介されています。
車両導入が業務改善につながる、代表的なケースを業種別に解説します。
介護業における福祉車両の導入事例
介護事業では、利用者の送迎業務に多くの時間と人手が必要になることがあります。福祉車両を導入することで送迎業務の効率化が進み、業務改善につながるケースです。
例えば、車いす対応の福祉車両を導入することで、利用者の乗降にかかる時間を短縮できる場合があります。従来は複数の職員が必要だった介助作業が簡素化され、職員の身体的負担の軽減にもつながるでしょう。
福祉車両の導入によって送迎業務の効率化や作業負担の軽減が見込まれる場合には、生産性向上につながる設備投資として評価されます。
建設業における作業車両の導入事例
建設業では、資材運搬や現場間の移動に多くの時間がかかります。作業車両を導入することで移動時間や運搬作業の負担が軽減され、作業効率の向上につながるケースです。
例えば、資材運搬用の車両を導入することで、現場間の移動時間を短縮できる場合があります。これにより作業工程が効率化され、作業員の負担軽減や安全性の向上が期待できるでしょう。
作業車両の導入によって業務効率が改善される場合には、設備投資として評価されます。
機械設備の導入として認められた車両の事例
業務改善助成金では、車両が業務に直接関係する設備として使用される場合、機械設備の導入として評価されます。作業工程の改善や作業時間の短縮につながる車両は、生産性向上の取り組みとして助成対象となります。
例えば、作業機械を搭載した特殊車両や、現場作業の効率化を目的とした作業車両などは、業務改善につながる設備として評価されるケースです。車両の導入によって作業工程が簡素化されれば、労働時間の短縮や作業負担の軽減といった効果が期待できます。
車両が単なる移動手段ではなく、業務効率の向上に直接関係する設備として位置付けられる場合、業務改善助成金の助成対象として認められます。
参照元:厚生労働省「業務改善助成金 助成事例」
業務改善助成金で車両購入が助成対象外になるケース
業務改善助成金では、車両購入であっても業務改善との関連性が認められない場合は助成対象になりません。
導入する車両が、業務効率の向上や労働時間の短縮につながるかどうかが重要な判断基準になります。
車両購入が助成対象外になるケースを解説します。
業務改善との関連性が認められない場合
業務改善助成金では、設備投資によって業務効率が向上することが求められます。
そのため、車両導入による業務改善の効果が説明できない場合は、助成対象と認められない可能性があります。
例えば、次のようなケースです。
- 車両導入による業務効率化の効果が不明確
- 作業時間の短縮や生産性向上につながらない
- 業務改善との関係が説明できない
業務改善助成金では、設備導入が業務改善の取り組みとして位置付けられているかが重要です。単に車両を購入するだけでは助成対象にはなりません。
単なる移動手段としての社用車
社用車であっても、業務改善に直接関係しない場合は助成対象外になります。移動のみを目的とした車両は設備投資として評価されにくい傾向があります。
例えば、次のような車両です。
- 営業活動のための一般的な社用車
- 通勤や移動のみを目的とした車両
- 業務改善の効果が確認できない車両
このような車両は、生産性向上につながる設備とは判断されにくいため、助成対象外になります。
助成対象となる設備投資との違い
業務改善助成金では、業務効率の改善につながる設備投資が助成対象です。例えば、作業効率を高める機械設備や業務管理システムなどは、業務改善につながる設備として評価されます。
一方で、車両が単なる移動手段として使用される場合は、設備投資として認められない可能性があります。車両購入を検討する際は、導入によってどのような業務改善が期待できるのかを具体的に説明できることが重要です。
業務改善助成金を活用するためには、車両導入の目的と業務改善の効果を明確にすることがポイントになります。
業務改善助成金で車両購入を検討する際のポイント

業務改善助成金で車両購入を検討する場合は、制度の要件や申請手続きの流れを事前に理解しておくことが重要です。
車両購入を検討する際に確認しておきたいポイントを解説します。
車両購入と生産性向上の関係を整理する
業務改善助成金では、設備投資によって生産性向上が見込まれることが重要な要件です。そのため、車両購入によって業務がどのように改善されるのかを具体的に整理する必要があります。
例えば、次のような効果が見込まれる場合には、生産性向上の取り組みとして評価されます。
- 移動時間の短縮による業務効率の改善
- 作業工程の簡素化による作業時間の削減
- 作業負担の軽減による労働環境の改善
車両導入の目的や業務改善の効果を明確にすることで、助成対象として認められる可能性が高まります。
申請前に確認しておきたい助成対象条件
業務改善助成金を活用するためには、設備投資だけでなく事業場内最低賃金の引き上げが必要です。車両購入を検討する際は、制度の基本要件を事前に確認しておくことが重要になります。
主な確認ポイントは次のとおりです。
- 事業場内最低賃金を一定額以上引き上げる
- 生産性向上につながる設備投資を行う
- 計画を提出した後に設備導入を行う
これらの条件を満たしていない場合、設備投資を行っても助成対象にならない可能性があります。制度の要件や申請の流れを事前に確認しておくことが重要です。
制度活用を検討する際の相談先
業務改善助成金は制度の要件や申請手続きが複雑な場合があります。
車両購入が助成対象になるかどうかは、導入する設備の内容や業務改善との関連性によって判断されるため、事前に確認しておくことが重要です。
制度について不明な点がある場合は、事業所所在地を管轄する都道府県労働局に相談することができます。また、助成金申請のサポートを行っている専門家に相談することで、自社が助成対象となるか判断しやすくなるでしょう。
なお、助成金申請のサポートを行っている社会保険労務士法人グロースアシストでは、制度の活用に関する相談や申請手続きの支援を行っています。
自社で業務改善助成金の活用を検討している場合は、専門家へ相談することで制度の要件や申請手続きについて具体的なアドバイスを受けられます。
まとめ|業務改善助成金で車両購入を検討するポイント
業務改善助成金は、中小企業や小規模事業者が設備投資を行い、事業場内最低賃金を引き上げた場合に活用できる返済不要の制度です。
生産性向上につながる取り組みであることが条件となり、業種や用途によっては車両購入が助成対象として認められる可能性があります。
ただし、すべての車両購入が助成対象になるわけではありません。業務改善との関連性や、生産性向上の効果を具体的に説明できることが重要です。
制度の要件や申請手続きに不安がある場合は、専門家に相談することで、自社が助成対象となるか判断しやすくなります。
業務改善助成金の活用について詳しく知りたい方は、社会保険労務士法人グロースアシストの公式ウェブサイトをご確認ください。
参考・出典
厚生労働省「業務改善助成金」
「業務改善助成金 助成事例」
「業務改善助成金Q&A 」