両立支援等助成金の育児休業等支援コースを活用したいけれども、制度の概要を確認しただけでは、自社が対象になるのか判断しにくいものです。
支給要件や申請期間、就業規則の整備など、実務で確認すべきポイントはいくつもあります。育児休業を取得しやすい職場づくりや、復帰後も働き続けやすい環境整備を進めるためには、制度の全体像を理解しておくことが大切です。
この記事では、両立支援等助成金の育児休業等支援コースについて、制度の目的や特徴、対象となる事業主の基本条件まで解説します。
両立支援等助成金の育児休業等支援コース概要
両立支援等助成金の育児休業等支援コースは、育児休業を取得しやすく、復帰後も働き続けやすい職場づくりに取り組む事業主を支援する制度です。
制度を正しく理解するために、制度の目的と特徴、対象となる事業主の基本条件を解説します。
制度の目的と特徴
両立支援等助成金の育児休業等支援コースは、仕事と育児の両立を後押しするための制度です。厚生労働省は、両立支援等助成金全体を、仕事と家庭の両立支援に取り組む事業主向けの助成金として案内しています。
育児休業等支援コースはその中でも、従業員が安心して育児休業を取得し、職場復帰後も継続して働ける環境整備を促す役割を担っています。
育児休業等支援コースのポイントは、次のとおりです。
- 育休取得と復帰支援を後押しする
- 事業主の環境整備が前提になる
- 面談や支援計画の実施が重要になる
- 公的様式に沿った手続きが必要になる
単に育休取得者がいるだけでは、両立支援等助成金の育児休業等支援コースの対象になるとは限りません。
制度に沿って職場環境を整え、必要な流れを踏んでいることが前提になります。制度の目的を先に理解しておくと、後の支給要件や申請方法も整理しやすいです。
こども未来戦略との関係
こども未来戦略とは、少子化対策を進めるために、子育てしながら働きやすい環境づくりを後押しする政府方針です。
厚生労働省は、令和6年1月に新設した育休中等業務代替支援コースについて、こども未来戦略による「共働き・共育ての推進」の取組の一つとして案内しています。
この流れを踏まえると、両立支援等助成金は、仕事と育児の両立を支える制度として理解しやすいです。
育児休業等支援コースは、育休の取得と復帰を後押しするコース、育休中等業務代替支援コースは育休中の業務を補う体制づくりを支援するコースです。
役割を分けて整理すると、制度全体の位置づけが分かりやすくなります。
対象となる事業主の基本条件
両立支援等助成金の育児休業等支援コースは、育児と仕事の両立を支える取組を行う事業主が対象です。
制度の対象になるかを考える際は、従業員の育休取得実績だけでなく、事業主としてどのような支援体制を整えているかが重要になります。
対象判断の入口としては、まず次のような点を確認しておきましょう。
- 育休取得予定の従業員がいる
- 面談や復帰支援を行える
- 社内ルールを整備できる
- 必要書類を管理できる
実際に支給対象になるかどうかは、具体的な支給要件の確認が必要です。
支給要件と連続3カ月以上の育休の確認

両立支援等助成金の育児休業等支援コースの、主な支給要件や就業規則で確認しておきたい内容を解説します。
主な支給要件
両立支援等助成金の育児休業等支援コースは、従業員が育児休業を取得しただけで支給される制度ではありません。
厚生労働省は、支給要領や支給申請書、面談シート兼プランなどを公表しており、育休取得前から復帰後まで、制度に沿った取組を行っていることが前提になります。
主な支給要件としては、次の点を押さえておくことが大切です。
- 育休取得前に面談を行う
- 支援プランを作成する
- 業務の引継ぎを実施する
- 復帰後に原職等へ戻る
- 申請時点まで継続雇用する
育児休業等支援コースの対象になるかを判断する際は、育休を取得した事実だけでなく、事業主が取得前後の支援をどのように行ったかまで確認する必要があります。
面談や支援プランの作成、引継ぎ、復帰後の状況などを記録として残しておくことが重要です。実際の適用可否は、申請区分や申請時点の支給要領によって確認する必要があります。
連続3カ月以上の育休とは
育児休業等支援コースでは、3カ月という区切りを確認しておくことが大切です。
育休取得時の申請期限は、対象労働者の育児休業を開始した日から起算して3か月が経過する日の翌日から2か月以内とされており、申請準備の時期を考える基準になるためです。
実務では、まず育児休業の開始日を確認し、そこから3カ月経過日の基準を把握したうえで、必要書類や社内確認の時期を逆算していきます。
期限だけを後から確認しようとすると、準備が遅れてしまうおそれがあります。そのため、次の流れで整理しておくと進めやすくなります。
- 育児休業の開始日を確認する
- 3カ月経過日の基準を把握する
- 申請準備を逆算して進める
このように、「3カ月」という期間は制度の理解だけでなく、申請のスケジュール管理にも関わる重要なポイントです。
就業規則で整える内容
両立支援等助成金の育児休業等支援コースでは、就業規則などの社内ルールを整理しておくことも重要です。
就業規則は、申請段階で確認が必要になる場面もあるため、早めに見直しておくと進めやすいです。
確認したいポイントは、次のとおりです。
- 育休に関する社内ルールがある
- 復帰支援の運用と矛盾がない
- 最新制度に対応しやすい
- 必要時に提示できる
育児休業等支援コースを活用する際は、支給要件の確認と、育休取得から復帰までを支える社内ルールが整理されているか、見直しておくことが大切です。
育児休業等支援コース|申請期間と申請方法の流れ

両立支援等助成金の育児休業等支援コースを活用するには、支給要件だけでなく、申請期間と申請方法の流れまで把握しておくことが大切です。
申請期間の考え方
申請期間は、上述したように育児休業の開始日を基準に確認します。
労働局の案内では、育休取得時の申請期限について、対象労働者の育児休業を開始した日から起算して3か月が経過する日の翌日から2か月以内と示されています。
申請期限だけを見るのではなく、育休開始日から逆算して準備を進めることが重要です。
確認したいポイントは次のとおりです。
- 育児休業の開始日を確認する
- 3か月経過日の基準を把握する
- 提出時期を逆算して準備する
育休が始まる段階で、申請までのおおまかな流れを見通しておくと進めやすいです。
申請方法の基本手順
申請方法は、最新の支給要領と申請様式を確認し、必要書類をそろえて提出する流れが基本です。
育児休業等支援コースは、雇用関係助成金ポータルによる電子申請にも対応しています。電子申請では、紙申請と一部異なる様式が案内されているため、申請方法に応じて使う書類を確認しておくことが大切です。
申請方法の流れは、次のように整理できます。
- 支給要領と最新様式を確認する
- 必要書類を準備する
- 紙または電子で申請する
申請前に最新の支給要領と支給申請書を確認しておくと、手続きを進めやすくなります。
申請の流れで注意したい点
申請を進める際は、全体の流れを整理したうえで準備することが大切です。
申請の流れは、次のように整理すると分かりやすいです。
- 最新の支給要領を確認する
- 最新の申請様式をそろえる
- 必要書類を事前に確認する
- 紙申請か電子申請かを決める
- 申請期限に間に合うよう準備する
申請書類や運用は見直されることがあるため、申請前には現在有効な支給要領と申請様式を確認する必要があります。
支給申請書と必要書類の準備
両立支援等助成金の育児休業等支援コースでは、支給申請書と必要書類を正しく準備することが重要です。最新様式を確認し、提出前に必要書類を見直します。
支給申請書の確認ポイント
育児休業等支援コースでは、支給要領とあわせて申請書や記載例が案内されています。書き方を自己判断せず、公式資料に沿って準備すると進めやすいです。
確認したいポイントは、次のとおりです。
- 最新の支給申請書を使う
- 記載例もあわせて確認する
- 記入前に支給要領を読む
- 電子申請用の様式も確認する
申請方法によって、確認する様式が変わる場合があります。
提出前にそろえる書類
支給申請書だけを作成しても、申請は完了しません。
提出前には、厚生労働省が公開している支給要領や支給申請書、記載例を確認しながら、必要書類をそろえることが重要です。
準備の際は、次の点を押さえると整理しやすくなります。
- 支給要領で必要書類を確認する
- 支給申請書と記載例を見ながら記入する
- 添付漏れがないか見直す
- 追加書類の可能性も意識する
また、電子申請では一部の申請様式が通常申請と異なる一方で、申請様式以外の添付書類は通常申請と同様に必要です。
提出前は、申請書が最新様式か、記載内容に漏れがないか、添付書類が不足していないかをまとめて見直しておくと安心です。
不備を防ぐ社内チェック
書類の不備を防ぐには、提出直前にまとめて確認するのではなく、社内で早めにチェックの流れを作っておくことが重要です。
社内チェックでは、次の点を意識すると進めやすくなります。
- 最新版の様式か確認する
- 記載内容に漏れがないか見る
- 添付書類との整合性を確認する
- 提出前に再確認の担当を決める
過去に使った様式や社内保存データをそのまま流用すると、制度改正や様式変更に対応できないことがあります。
育休中等業務代替支援コースとの違い

両立支援等助成金の育児休業等支援コースを検討する際は、育休中等業務代替支援コースとの違いも確認しておくことが大切です。
どちらも仕事と育児の両立を支える制度ですが、支援する内容は同じではありません。制度の役割を分けて理解しておくと、自社に合う活用方法を判断しやすくなります。
制度の違いを整理
両立支援等助成金の中でも、育児休業等支援コースと育休中等業務代替支援コースは役割が異なるため、次のように整理すると分かりやすいです。
| 項目 | 育児休業等支援コース | 育休中等業務代替支援コース |
| 主な目的 | 育休取得と職場復帰の支援 | 業務代替体制の整備支援 |
| 支援の中心 | 本人への取得・復帰支援 | 周囲の業務カバー体制支援 |
| 確認したい視点 | 育休取得しやすい環境か | 休業中の業務を回せる体制か |
| 情報確認のポイント | 最新の支給要領・要件を確認 | 最新の支給要領・要件を確認 |
厚生労働省は、こども未来戦略による「共働き・共育ての推進」の取組の一つとして案内しており、関連制度の拡充の流れの中で位置づけられています。
自社に合うコースの選び方
自社に合うコースを考えるときは、何を優先して整えたいかを整理することが大切です。
育児休業等支援コース
従業員の育休取得や職場復帰を後押ししたい場合に検討します。
育休中等業務代替支援コース
育休取得者が出たときの業務分担や、代替体制の整備を進めたい場合に検討します。
判断の際は、次の視点で整理すると分かりやすくなります。
- 取得と復帰の支援を重視する
- 業務を補う体制づくりを重視する
- 最新の支給要領で確認する
自社に合うコースを選ぶ際は、過去の情報だけで判断せず、最新資料で制度内容を確認することが大切です。
迷ったときの相談先
制度の違いを見ても判断に迷う場合は、早めに相談先を確認しておくと安心です。
厚生労働省は、両立支援等助成金の支給申請についての問い合わせ先として、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)を案内しています。
そのうえで、自社に合う進め方まで整理したい場合は、専門家に相談する方法もあります。専門家に相談するメリットは、次のとおりです。
- 自社に合う制度の選び方を整理しやすい
- 申請準備で不足しやすい資料や確認事項を把握しやすい
- 就業規則や社内体制の整え方を検討しやすい
両立支援等助成金の育児休業等支援コースは、制度の概要を知るだけでなく、自社の状況に当てはめて考えることが欠かせません。
申請の可否や活用方法を具体的に検討したい場合は、社会保険労務士法人グロースアシストの公式ウェブサイトも参考にしてください。
まとめ|両立支援等助成金の育児休業等支援コースを活用
両立支援等助成金の育児休業等支援コースを確認する際は、制度の概要だけでなく、支給要件や申請期間、就業規則まで整理しておくことが大切です。古い情報だけで判断せず、厚生労働省の最新資料を確認しながら進める必要があります。
また、関連制度である育休中等業務代替支援コースは、育休の取得と復帰を支援する育児休業等支援コースとは役割が異なります。自社が優先して整えたい内容に応じて、制度を見比べることが重要です。
制度活用や申請準備について詳しく確認したい場合は、社会保険労務士法人グロースアシストの公式ウェブサイトをご確認ください。
参考・出典
厚生労働省「両立支援等助成金の育児休業等支援コース」
「両立支援等助成金(育児休業等支援コース)」
「両立支援等助成金(電子申請用の様式)」
こども家庭庁「こども未来戦略」