育児や介護、不妊治療など、仕事と家庭の両立に関する課題は、多くの企業にとって重要なテーマです。しかし、「従業員の育児休業をどのように支援すればよいのか」「介護離職を防ぐ制度を整えるにはどうすればよいのか」と悩む企業も少なくありません。
制度を整備したいと考えていても、具体的な支援制度や助成金の活用方法が分からないケースもあるでしょう。
こうした企業の取り組みを支援するため、厚生労働省では「両立支援等助成金」という制度を設けています。両立支援等助成金は、育児休業や介護休業の取得促進、職場復帰支援など、仕事と家庭の両立支援に取り組む事業主を支援する助成金制度です。
本記事では、厚生労働省が実施する両立支援等助成金の制度概要や、主なコースの内容を整理し、制度活用のポイントを解説します。自社で活用できる助成金制度を検討する際の参考にしてください。
両立支援等助成金|厚生労働省の制度概要
両立支援等助成金は、厚生労働省が実施する助成金制度です。育児や介護など、仕事と家庭の両立支援に取り組む事業主を支援することを目的としています。
企業が両立支援制度を整備し、従業員が実際に制度を利用した場合などに助成金が支給されます。制度の目的や特徴、対象となる企業の仕組みについて解説します。
仕事と家庭の両立支援等を目的
両立支援等助成金の目的は、育児や介護などの事情を抱える労働者が働き続けられる環境づくりを企業に促すことです。
共働き世帯の増加や高齢化の進行により、仕事と家庭の両立支援の重要性は年々高まっています。企業が制度を整備し、従業員が安心して制度を利用できる環境を整えることが急務です。
厚生労働省では、企業が次のような取り組みを進めることを支援しています。
| 支援される主な取り組み | 内容 |
| 育児休業制度の整備 | 従業員が育児休業を取得しやすい制度を整備する |
| 介護休業制度の整備 | 家族の介護が必要な従業員が休業を取得できる制度を整える |
| 従業員の職場復帰支援 | 育児休業や介護休業後にスムーズに職場復帰できる体制を整備する |
| 柔軟な働き方制度の導入 | 短時間勤務やテレワークなど、状況に応じて働き方を選べる制度を導入する |
企業がこうした制度を整備し、従業員が制度を利用した場合などに助成金が支給される仕組みです。
事業主を支援する制度の特徴
両立支援等助成金の特徴は、制度を整備するだけでなく、従業員が実際に制度を利用することで助成金の対象となる点です。制度の設計だけでなく、実際の運用が重視されます。
例えば、次のような取り組みが助成対象となります。
- 男性の育児休業取得を促進する制度
- 育児休業からの職場復帰を支援する取り組み
- 介護離職防止のための制度整備
- 柔軟な働き方制度の導入
企業がこうした取り組みを行い、一定の要件を満たした場合に助成金の支給申請が可能になります。
対象となる企業と制度の仕組み
両立支援等助成金は、雇用保険の適用事業所である事業主が対象です。主に中小企業の活用を想定した制度ですが、コースによっては一定規模の企業も対象になります。
助成金の基本的な仕組みは次のとおりです。
- 企業が両立支援に関する制度を整備する
- 従業員が制度を利用する
- 要件を満たした場合に助成金を申請する
例えば、育児休業制度を整備し、従業員が育児休業を取得した場合や、介護休業制度を利用した場合などが助成対象となります。
両立支援等助成金は複数のコースで構成されており、企業の取り組みに応じて活用できる制度です。制度内容は年度ごとに見直しが行われるため、活用を検討する際は最新の情報を確認しましょう。
両立支援等助成金|厚生労働省のコース一覧

両立支援等助成金は、企業の取り組みに応じて活用できる複数のコースで構成されています。育児休業の取得促進や介護離職の防止など、仕事と家庭の両立支援に関する制度整備が主な対象です。
代表的なコースの概要を紹介します。
出生時両立支援コース
出生時両立支援コースは、男性の育児休業取得を促進することを目的とした制度です。子どもの出生直後に父親が育児休業を取得しやすい職場環境づくりを企業に促します。
企業が次のような取り組みを行い、従業員が実際に育児休業を取得した場合などに助成金の対象となります。
- 男性の育児休業取得を促進する社内制度の整備
- 出生後一定期間内の育児休業取得
- 育児休業取得を後押しする社内の取り組み
男性の育児参加を促進することは、共働き世帯の増加に対応する重要な政策の一つです。このコースは、企業の育休取得促進の取り組みを後押しする制度として活用されています。
育児休業等支援コース
育児休業等支援コースは、育児休業の取得から職場復帰までを支援するコースです。育児休業制度を整備するだけでなく、休業取得と復帰後の働き方を支える取り組みが対象になります。
主な対象となる取り組みは次のとおりです。
- 育児休業取得を支援する制度の整備
- 従業員の育児休業の取得
- 育児休業後の職場復帰支援
企業が復帰支援の計画を作成し、実際に育児休業の取得や職場復帰が行われた場合などに助成金が支給されます。
育児休業を取得しやすく、復帰後も働き続けられる職場環境を整えることで、離職防止や人材定着につなげることを目的としています。
介護離職防止支援コース
介護離職防止支援コースは、家族の介護を理由とした退職を防ぐための制度です。高齢化が進む中で、仕事と介護の両立は企業にとって重要な課題になっています。
企業が次のような取り組みを行った場合、助成金の対象となります。
- 介護休業制度の整備
- 従業員の介護休業の取得支援
- 仕事と介護を両立できる職場環境の整備
例えば、従業員が介護休業を取得した場合や、介護と仕事を両立できる制度を整備した場合などが助成対象となります。
介護離職を防ぐことで、企業は経験豊富な人材の流出を防ぎ、安定した職場環境を維持しやすくなります。
柔軟な働き方を支援するコース
両立支援等助成金には、育児や介護と仕事を両立しやすい職場環境づくりを支援するコースもあります。従業員が家庭の状況に応じて働き方を選択できる制度を整備することで、離職防止や人材定着につなげることが目的です。
柔軟な働き方を支援する、主な制度や取り組みについて紹介します。
柔軟な働き方選択制度等支援コース
柔軟な働き方選択制度等支援コースは、従業員が家庭の事情に応じて働き方を選べる制度の導入を支援するコースです。特に育児期の従業員が働き続けられる環境づくりを目的としています。
企業が次のような制度を導入し、従業員が実際に利用した場合などに助成金の対象となります。
- 短時間勤務制度の導入
- フレックスタイム制度の導入
- テレワークなど柔軟な勤務制度の整備
こうした制度を整備することで、従業員が家庭の状況に合わせて働き方を選択しやすくなります。企業にとっても、育児を理由とした離職の防止や人材確保につながる取り組みです。
職場復帰を支援する取り組み
育児休業や介護休業を取得した従業員が安心して職場復帰できる環境づくりも、両立支援の重要な取り組みです。復帰後の働き方に配慮することで、休業後も働き続けやすい職場環境を整えることができます。
企業では次のような取り組みが行われています。
- 復帰前の面談や情報共有
- 復帰後の業務内容や勤務時間の調整
- 育児や介護と両立できる働き方の配慮
こうした支援を行うことで、休業取得後のスムーズな職場復帰につながります。
介護休業の取得を促進する制度
家族の介護が必要になった場合でも働き続けられるよう、介護休業の取得を支援する制度の整備も重要です。仕事と介護を両立できる環境を整えることで、介護離職の防止につながります。
企業が次のような取り組みを行うことで、従業員の介護休業取得を支援できます。
- 介護休業制度の周知
- 介護に関する相談体制の整備
- 仕事と介護を両立できる働き方の支援
介護休業制度の利用を支援することで、従業員が安心して働き続けられる職場づくりにつながります。
不妊治療と仕事の両立を支援する制度

両立支援等助成金には、不妊治療と仕事の両立を支援するためのコースも用意されています。治療のために通院や休暇が必要になる場合でも、働き続けられる職場環境を整えることを目的とした制度です。
不妊治療両立支援コースの概要や、企業が取り組むべきポイントを解説します。
不妊治療両立支援コースの概要
不妊治療両立支援コースは、不妊治療と仕事を両立できる職場環境づくりを支援する制度です。企業が社内制度を整備し、従業員が実際に制度を利用した場合などに助成金の対象となります。
企業が導入する主な制度は次のとおりです。
- 不妊治療のための休暇制度の導入
- 通院に配慮した勤務制度の整備
- 不妊治療と仕事を両立するための社内制度の整備
不妊治療は通院回数が多くなることもあり、勤務時間の調整や休暇制度など、柔軟な働き方を支援する仕組みが重要になります。
制度導入による企業側のメリット
不妊治療と仕事の両立を支援する制度は、従業員が安心して働き続けられる環境づくりにつながります。
企業にとっても、次のようなメリットがあります。
- 従業員の離職防止
- 人材定着の促進
- 働きやすい企業としての評価向上
不妊治療を理由とした離職を防ぐことで、経験やスキルを持つ人材の流出を防ぐ効果も期待できます。
従業員の働き方を支える環境整備
制度を導入するだけでなく、安心して利用できる職場環境を整えることも重要です。職場全体で理解を深めることで、従業員は制度を利用しやすくなります。
企業では次のような取り組みが行われています。
- 不妊治療に関する社内周知
- 上司や人事担当者による相談体制の整備
- 柔軟な勤務制度の活用
こうした環境整備を進めることで、不妊治療と仕事を両立しながら働き続けられる職場づくりにつながります。
両立支援等助成金を検討する企業へ

両立支援等助成金は、育児や介護、不妊治療などと仕事の両立を支援する制度です。企業が制度を整備し、従業員が実際に制度を利用することで助成金の対象となります。
近年は、育児や介護と仕事の両立支援が企業に求められる重要なテーマです。従業員が働き続けられる環境を整えることは、人材確保や離職防止の観点からも大きな意味があります。
両立支援等助成金を活用する際に、企業が押さえておきたいポイントを紹介します。
制度活用で進める働き方改革
両立支援等助成金を活用することで、企業は働きやすい職場環境づくりを進めやすくなります。育児や介護などの事情があっても、働き続けられる制度を整えることで、従業員の安心感にもつながるでしょう。
企業では次のような取り組みが進められています。
- 育児休業制度の整備
- 介護休業制度の整備
- 柔軟な働き方制度の導入
- 職場復帰を支援する体制の整備
こうした制度を整備することで、従業員がライフステージに応じて働き続けられる環境が整います。結果として、離職防止や人材定着にもつながります。
助成金申請のポイント
両立支援等助成金は、制度を導入するだけでは支給されません。
企業が制度を整備したうえで、従業員が実際に制度を利用し、一定の要件を満たす必要があります。
申請の際は、次の点を確認しておくことが重要です。
- 両立支援に関する制度が社内で整備されている
- 従業員が育児休業や介護休業などの制度を利用している
- 助成金申請に必要な書類を準備している
また、助成金の支給要件や助成額は年度ごとに見直されることがあります。制度を活用する際は、厚生労働省が公表している最新の情報を確認しながら進めることが大切です。
専門家に相談するメリット
両立支援等助成金は複数のコースで構成されており、それぞれ支給要件や申請手続きが異なります。制度を正しく理解し、自社に合ったコースを選択することが重要です。
社会保険労務士などの専門家に相談することで、次のようなメリットがあります。
- 自社が助成金の対象となるかを事前に確認できる
- 制度導入や社内整備のポイントを整理できる
- 申請に必要な書類や確認事項を整理しやすくなる
助成金申請では、制度要件や申請手続きの理解が重要です。専門家に相談することで、不備による不支給リスクを抑えながら制度活用を進めやすくなります。
両立支援等助成金の活用を検討している場合は、制度の内容を整理したうえで、自社に合った活用方法を検討することが重要です。
詳しくは社会保険労務士法人グロースアシストの公式ウェブサイトをご確認ください。
まとめ|両立支援等助成金の制度と活用ポイント
両立支援等助成金は、厚生労働省が実施する助成金制度で、育児や介護、不妊治療などと仕事を両立できる、職場環境づくりに取り組む事業主を支援することを目的としています。
企業が両立支援制度を整備し、従業員が実際に育児休業や介護休業などを利用した場合が、助成金の対象です。
制度には、出生時両立支援コースや育児休業等支援コース、介護離職防止支援コースなど、企業の取り組みに応じて活用できる複数のコースがあります。自社の制度整備や従業員の利用状況に合わせて、適したコースを選択することが重要です。
仕事と家庭の両立を支援する制度の整備は、従業員が安心して働き続けられる環境づくりにつながります。離職防止や人材定着、企業イメージの向上といった効果も期待できるため、企業にとって重要な取り組みといえるでしょう。
両立支援等助成金の活用を検討している場合は、制度の要件や申請手続きを確認しながら進めることが大切です。
詳しくは、社会保険労務士法人グロースアシストの公式ウェブサイトをご確認ください。
参考・出典
厚生労働省「両立支援等助成金のご案内」