労務管理士は、働きながらでも取得を目指しやすい難易度の民間資格です。ただし、合格率が非公開のため、「自分のペースで合格できるのか」「どの取得ルートが効率的か」を見極めにくい側面があります。
本記事では、2級の合格基準点や試験形式をもとに難易度の実態を整理し、社労士との比較や取得ルートごとの合格しやすさを解説します。
労務管理士の難易度は易しい?1級・2級の違い

労務管理士は、一般社団法人日本人材育成協会が認定する民間資格で、1級と2級の2段階に分かれています。2級は合格基準70点以上で、講座の内容がほぼそのまま試験に出題されるため、国家資格と比べるとやさしい部類に入ります。詳しく見ていきましょう。
2級労務管理士の難易度と合格率
2級労務管理士は、20歳以上であれば学歴・職業・実務経験を問わず誰でも受験できる資格試験です。出題範囲は事前受講する講座の内容がベースのため、講座を一通り受講して理解しておけば、合格ラインに届きやすい設計になっています。
万が一不合格になっても、Web資格認定講座の受講期間内であれば何度でも再受験できます。費用面の負担なく再チャレンジできる点も、2級が取り組みやすい理由のひとつです。
試験の合格率については、公式には公開されていません。ただし、講座内容と試験範囲が一致していること、再試験制度があることを踏まえると、仕事と両立しながらでも合格を狙える難易度といえます。
1級労務管理士の難易度と合格率
1級は2級合格者のみが受験できる上位資格です。2級合格後に「資格者研修」を受講し、昇級審査試験に合格すると1級として認定されます。2級よりも深い知識と実務への応用力が求められるため、学習の負担は一段上がります。
合格率は2級と同じく非公開ですが、出題範囲は研修の内容に沿っているため、研修をひと通り復習すれば合格を狙える仕組みです。2級からの段階的なステップアップなので、働きながらでも自分のペースで進められるでしょう。
社会保険労務士(社労士)との難易度比較
労務管理士とよく比較されるのが社会保険労務士(社労士)です。社労士は厚生労働省が所管する国家資格で、試験の性格も合格率もまったく異なります。
| 項目 | 労務管理士(2級) | 社会保険労務士 |
| 合格率 | 非公開(比較的高いとされる) | 約5〜8%(2025年度は5.5%) |
| 勉強時間の目安 | 数時間〜2ヶ月(ルートにより異なる) | 800〜1,000時間 |
| 出題範囲 | 講座で扱う労働基準法・就業規則が中心 | 労働基準法・社会保険・年金など大きく10科目 |
| 試験頻度 | 講座受講後に随時受験可能 | 年1回(毎年8月) |
| 合格基準 | 70点以上 | 総得点+各科目の合格基準点(通称:足切り点)を同時にクリア |
両者の差は、勉強時間・試験範囲に加えて、合格基準の構造に表れています。
労務管理士(2級の場合)は100点満点中70点以上を取れば合格ですが、社労士は総得点に加えて科目ごとの最低点も設定されており、1科目でも基準を下回ると不合格になります。必要な学習時間も、働きながらの場合でおよそ10倍以上の差があります。
ただし、取りやすさの裏返しとして、労務管理士には社労士のような独占業務がありません。「まず労務管理の基礎を仕事で使える形にしたい」なら労務管理士、「労務・社会保険・年金の専門家として独立も視野に入れたい」なら社労士と、目的にあわせて優先順位を決めてください。
労務管理士の資格取得方法

| 取得方法 | 特徴 | 費用の目安 |
| 公開認定講座 | 会場で1日講義を受けて試験対面で学びたい方向け | 10,000円(税込) |
| Web認定講座 | オンラインで動画を視聴し、試験を受験自宅で完結 | 8,000円(税込) |
| 通信研修 | テキスト教材で学習し、到達度試験を受けるマイペースに進められる | 講座により異なる |
| 書類審査 | 実務経験や学歴をもとに審査試験なしで取得できる場合がある | 審査料が必要 |
労務管理士の取得方法は1つではありません。仕事や家庭との両立を考えるうえで、どのルートが自分に向いているかを確認しましょう。
公開認定講座
公開認定講座は、指定会場で1日かけて講義を受け、その場で試験を受ける対面型のコースです。講師に直接質問できる環境で学びたい方や、1日で学習から受験まで完結させたい方に向いています。
Web認定講座
学習効率と時間的な自由度のバランスに長けた形式です。30日間の受講期間内にオンライン動画で学び、そのまま試験を受けられます。自宅で完結するため、仕事や家事の合間に時間を確保したい方におすすめです。
通信研修
自宅に届くテキスト教材を使い、自分のペースで学習を進められるのが通信研修です。到達度試験に合格すると労務管理士2級として認定されます。紙の教材をじっくりと読み込みたい方、通勤時間を学習に充てたい方に最適です。
書類審査
これまでの実務経験や関連学歴をそのまま資格取得に活かせるのが、書類審査のルートです。協会の定める基準を経験が満たしていれば、試験を受けずに資格取得が認められるケースがあります。
信頼できる労務管理講座の見極め方
講座の選び方を誤るとトラブルにつながるおそれがあります。受講前に次の4点を確認しておきましょう。
- 認定団体が明確か:一般社団法人日本人材育成協会の認定講座であるかを確認する
- カリキュラムの内容が具体的か:どの科目を学ぶのか、学習範囲が明示されているか
- 再試験の制度があるか:不合格時のサポート体制が整っているか
- 過度な表現がないか:「誰でも簡単に取れる」など、実態以上の宣伝をしていないか
とくに4つ目の「過度な表現」は、過去に労務管理士講座を運営していた別団体(現在の認定協会とは別法人・2007年解散)が景品表示法違反で排除命令を受けた事例でも問題視された点です。日本人材育成協会の公式サイトに認定講座の一覧が掲載されているので、申込前に必ず確認しておきましょう。
労務管理士の勉強法と学習のポイント

取得ルートが決まったら、次は学習の進め方です。ここでは勉強時間の目安と、働きながら合格するためのコツを確認しましょう。
必要な勉強時間の目安
労務管理士(2級)に必要な学習時間は、取得ルートによって大きく異なります。公開認定講座なら約2〜3時間の受講と試験で1日のうちに完結し、Web認定講座は30日間の受講期間内に動画視聴と受験を済ませる流れです。通信教育の場合は約2か月が目安になります。
ただし、「講座を受けただけで自動的に受かる」というほど甘い試験ではありません。講座の内容をノートにまとめたり、キーワードを復習したりする時間は必要です。さらにWeb認定講座の場合は受講期間が30日間に限られるため、学習スケジュールを先に決めてから始めると進めやすいでしょう。
おすすめのテキスト・教材
労務管理士に特化した市販テキストは、ほぼ流通していません。試験対策の中心になるのは、Web認定講座や公開認定講座に含まれている協会の公式教材です。試験範囲と直結しているため、内容を一通り理解すれば合格に必要な知識はおおむね身につきます。
余裕があれば、労働基準法のわかりやすい入門書を1冊手元に置いておくのもおすすめです。厚生労働省が無料で公開している労働条件や就業規則のパンフレットも、実務に近い知識を補ううえで役に立ちます。
労務管理士試験の出題範囲

2級の出題範囲は、講座で学ぶ労働基準法の基本分野が中心です。日本人材育成協会のWeb資格認定講座では、労働基準法を中心とした全10項目で構成されています。
| 学習テーマ | 主な学習内容 |
| 基本原則(総則) | 労働条件の原則労働者・使用者の定義均等待遇平均賃金 |
| 雇用のルール(労働契約・退職・解雇) | 労働条件の明示契約期間解雇制限解雇予告 |
| 賃金 | 賃金支払いの5原則休業手当最低賃金 |
| 勤務時間と休暇(労働時間・休憩・休日・有給) | 変形労働時間制割増賃金年次有給休暇の取得義務化 |
| 就業規則・その他 | 就業規則の記載事項同一労働同一賃金高度プロフェッショナル制度 |
資格認定試験は全20問・100点満点で、択一式と穴埋め式で出題されます。講座で扱った内容がそのまま出題されるため、教材をひと通り復習すれば試験対策としては十分でしょう。もう少し詳しく見ていきます。
基本原則(総則)
労働条件の原則や、労働者・使用者の定義、均等待遇、平均賃金の計算方法を扱う分野です。「そもそも労働基準法は誰に何を保障しているのか」という法律の土台にあたるため、他の4分野を理解するうえで欠かせません。
雇用のルール(労働契約・退職・解雇)
労働条件の明示義務、契約期間の上限、解雇制限、解雇予告の手続きなど、雇用の開始から終了までのルールを学びます。「労働条件通知書に何を書かなければならないか」「解雇予告は何日前に必要か」といった、人事・総務の実務で判断を求められやすいテーマが集中しています。
賃金
賃金支払いの5原則(通貨払い・直接払い・全額払い・毎月1回以上・一定期日)、休業手当の支払い要件、最低賃金のルールを扱う分野です。給与計算の担当者にとっては日常業務と重なる内容で、試験でも出題頻度が高いとされています。
勤務時間と休暇(労働時間・休憩・休日・有給)
変形労働時間制、割増賃金の計算、年次有給休暇の取得義務化など、勤怠管理に関わるテーマが中心です。2019年の法改正で年5日の有給取得が義務化されたこともあり、制度の背景と実務上の対応をセットで問われやすい分野といえるでしょう。
就業規則・その他
就業規則の必要記載事項、同一労働同一賃金、高度プロフェッショナル制度を扱います。就業規則は常時10人以上の労働者を使用する事業場に作成・届出義務があるため、管理部門に配属されると早い段階で関わることになる分野です。
よくある質問
ここでは、労務管理士の難易度について寄せられることの多い質問にお答えします。
労務管理士は誰でも取れる?
受験資格は「20歳以上」のみで、学歴や職業による制限はありません。条件面では誰でも挑戦できる資格です。
ただし、「誰でも受けられる=何もしなくても受かる」ではありません。合格基準の70点以上をクリアするには、講座の内容を一通り理解する必要があります。講座を受講して復習まで済ませれば、初学者でも合格を狙えます。
難易度が低いのに取得する意味はある?
取り組みやすいからこそ「学び直しの第一歩」におすすめです。労務管理の基本知識をまとめて身につけられる点や、「自分から学ぶ姿勢」を形にできる点には、試験の難易度とは別の価値があります。
何級から取得できる?
労務管理士は2級からスタートします。いきなり1級を受験することはできません。
2級を取得した後、資格者研修を受けて昇級審査に合格すると1級に進めます。段階的にステップアップする仕組みのため、まずは2級から始めるのが一般的です。
社労士とどう使い分ければいい?
社労士は労働法・社会保険・年金など大きく10科目を扱う国家資格で、難易度も労務管理士とは大きく異なります。独立開業や企業内の専門家を目指す方が取得する資格です。
一方、労務管理士は日々の労務実務に必要な基礎知識を短期間で身につけるための資格です。「実務に直結する知識がほしい」「社労士を目指す前のステップにしたい」なら労務管理士が向いています。
履歴書に書ける?
労務管理士は、資格登録が完了すれば履歴書の「免許・資格」欄に記載できます。記載例は「労務管理士(2級)登録」「労務管理士(1級)登録」など、級を明記する書き方が基本です。
民間資格ではありますが、人事・総務の求人では「労務管理の基礎知識あり」と読み取ってもらえるケースもあります。転職活動で活用したい方は、自分の経験とあわせて具体的な学習内容を伝えると効果的です。
まとめ:労務管理士の難易度を把握して効率的に取得しよう
労務管理士の難易度は、社労士と比べて格段に低い水準です。Web認定講座なら受講期間30日間・費用8,000円から始められるため、働きながらでも無理なく取得を目指せます。
取得ルートは公開認定講座・通信講座・Web講座・書類審査の4つがあり、合格後に資格登録を済ませれば1級へのステップアップも視野に入ります。まずは自分のペースに合ったルートを選び、学習計画を立ててみてください。
労務管理の制度活用や関連するコラム記事は、公式ウェブサイトにまとまっています。興味のある方はそちらもご覧ください。