「能登半島地震や豪雨の影響で、店舗や設備が壊れてしまった」
「事業を再建したいが、自己資金だけでは限界がある」
「災害支援枠という制度を聞いたが、自分も対象になるのだろうか」
日々、懸命にビジネスを営む小規模事業者にとって、予期せぬ自然災害が発生すれば、経営の根幹を揺るがす深刻な事態となります。壊れた設備の修理や失った販路の回復、何よりもう一度立ち上がるための資金確保ができなければ、再建への第一歩を踏み出すことはできません。
こうした非常事態において、国の力強い支援策の一つとして、「小規模事業者持続化補助金 ・災害支援枠」があります。災害支援枠は、災害によって直接的・間接的な被害を受けた事業者が、事業再建に向けて取り組む販路開拓等の経費を支援するものです。通常の持続化補助金よりも補助上限額が引き上げられており、被災地域の復興を力強く支える内容となっています。
しかし、補助金である以上、申請には厳格な審査があり、複雑な書類作成やスケジュール管理が必要です。
そこでこの記事では、災害支援枠の最新情報に基づき、補助対象者や要件、補助率、公募スケジュールから実績報告の手順まで、再建を目指す経営者が知っておきたい情報をまとめて紹介します。
小規模事業者持続化補助金・災害支援枠の概要と補助対象者

はじめに、小規模事業者持続化補助金・災害支援枠とはどのような制度なのか、基本的な枠組みと、申請できる事業者の条件を見ていきましょう。
災害支援枠の制度概要と目的
小規模事業者持続化補助金・災害支援枠は、令和6年能登半島地震などの激甚災害により被害を受けた事業者を対象とした特別な支援制度です。通常の一般型が前向きな販路開拓を主な目的としているのに対し、災害支援枠は事業の再建を最優先に掲げています。
被災した設備や店舗を単に元に戻すだけでなく、これを機に新しい販路を開拓したり、業務効率化を図ったりすることで、災害に強い持続可能な経営体質を構築することを目的としています。具体的には、商工会・商工会議所のアドバイスを受けながら経営計画をまとめ、その計画に基づいて行う販路開拓等の取り組みに必要な経費の一部を、国が補助する仕組みです。
補助対象者となる事業者の範囲と所在地要件
本補助金の補助対象者として認められる事業者は、以下の要件3つをすべてクリアする必要があります。
1.対象地域に所在すること
令和6年能登半島地震に係る災害救助法の適用地域となる4県(石川県、富山県、福井県、新潟県)に所在している必要があります。特に被害の大きかった石川県能登地域の6市町(珠洲市、輪島市、能登町、穴水町、七尾市、志賀町)では、より手厚い支援が行われています。
2.小規模事業者であること
常時使用する従業員数が、商業・サービス業(宿泊・娯楽業除く)の場合は5人以下、製造業その他(宿泊・娯楽業含む)の場合は20人以下の事業者が対象です。個人事業主や、要件を満たす特定非営利活動法人(NPO)も含まれます。
3.被害を証明できること
自治体が発行する罹災証明書や罹災証明書などにより、自社の事業用資産に損壊などの直接的な被害を受けた、あるいは売上が大幅に減少した事実を客観的に証明できる必要があります。
4.商工会・商工会議所の確認を受けていること
申請にあたっては、事業所が所在する商工会または商工会議所から、計画内容に関する確認書の発行を受ける必要があります。会員・非会員を問わず発行を受けられますが、事前相談が必要です。被災状況の確認には時間がかかるため、早めの相談がポイントとなります。
参照:令和5年度補正予算 小規模事業者持続化補助金 災害支援枠(令和6年能登半島地震)
参照:小規模事業者持続化補助金【災害支援枠(令和6年能登半島地震)】 6次 公募のお知らせ _ 補助金ナビ
参照:中小企業者持続化補助金(災害支援枠)について _ 石川県
災害支援枠の補助率と補助上限額および対象経費

災害支援枠は、被災した事業者の状況に応じて、通常の補助金よりも有利な条件が設定されています。ここでは、具体的なお金に関するポイントを見ていきましょう。
最大200万円までの補助上限額と補助率の仕組み
災害支援枠の補助率および補助上限額は、被害の深刻度(直接的な資産の損壊か、間接的な売上減少か)によって以下の3つに区分されています。
| 被害区分 | 補助上限額 | 補助率 | 備考 |
| 直接被害 | 200万円 | 2/3以内 | 設備、店舗、車輌等の損壊がある場合 |
| 間接被害 | 100万円 | 2/3以内 | 売上高が20%以上減少している場合 |
| 定額補助 | 最大200万円 | 定額(10/10) | 特定の条件(売上激減等)を満たす場合 |
自社の店舗や製造設備、配送用車両などに物理的な被害が生じた直接被害の場合、補助上限額は最大200万円となります。一方で、資産に直接の損壊はないものの、風評被害やサプライチェーンの断絶により売上が大幅に減少した間接被害の場合は、上限100万円での支援が受けられます。
3つ目の定額補助とは、令和6年能登半島地震などの被災者であり、かつ新型コロナウイルスの影響による売上減少など特定の要件を重ねて満たす場合に適用される区分です。適用されれば、再建にかかる対象経費の全額が国から補助されるため、自己負担を実質ゼロとして事業を立て直すことが可能になります。
また、小規模事業者持続化補助金は原則として、事業完了後に経費を確認して精算される後払い方式ですが、災害支援枠では被災直後の緊急性を鑑み、特例措置が設けられています。発災日である令和6年1月1日以降に発生した経費であれば、事務局からの交付決定を受ける前にすでに発注や支払いを行っていた場合でも、適正さが確認されれば日にちを遡って補助対象として認められます。
なお、現在受付中の第9次公募は、第8次公募までの運用と比べて対象範囲が極めて限定されている点に注意が必要です。具体的には、石川県能登地域の3市3町(珠洲市、輪島市、能登町、穴水町、七尾市、志賀町)に所在し、かつ地震等による直接被害を受けた事業者のみが申請の対象となります。石川・富山・福井・新潟の4県全域が対象範囲であり、直接被害に加えて間接被害も申請可能だった第8次公募までとは大きく異なります。
また、災害支援枠の公募自体、この第9次を以て原則として終了する予定です。したがって、対象となる事業者の皆様は一刻も早い準備が求められます。
補助対象事業となる設備投資やチラシ作成などの具体例
補助対象事業として認められるのは、維持管理等の単なる設備の更新ではなく、事業の再建に直結する販路開拓の取り組みです。
具体的には、以下のような経費が補助対象となります。
・機械装置等費
被災した設備の修繕や、新たなサービス提供のための調理器具、生産機械の購入費用です。中古品の購入も、単価50万円未満であれば対象となります。
・広報費
事業再開を知らせるチラシの作成・配布、看板の設置、パンフレットの制作、新聞広告などが該当します。
・展示会等出展費
展示会出展料、運搬費、ブース設営費といった販路を回復・開拓するための経費も対象です。
・ウェブサイト関連費
ネットショップの構築、HPの改修、SNS広告などです。ただし、経費全体の1/4まで等の制限があります。
・店舗改造費
損壊した店舗の床や壁の修繕、バリアフリー化も対象となります。
・車輌購入費
事業を続けるために必要な配送車やキッチンカーの購入費です。ただし、被災車両の代替であることなど、特定の条件を満たす場合に限ります。
災害前の機械・設備がただ古くなったから買い替えるといった維持管理ではなく、購入予定の設備の導入や、チラシの作成・配布を通して被災前の顧客を取り戻し、そのうえで新しい市場を開拓するなど、論理的なストーリーを事業計画にまとめられるかどうかが、採択の鍵を握ります。
参照:『小規模事業者持続化補助金 <一般型 災害支援枠(令和6年能登半島地震等)> 9次公募 公募要領』
参照:『令和5年度補正予算 小規模事業者持続化補助金 「災害支援枠(令和6年能登半島地震)」補助事業の手引き(5 次受付締切分)』
参照:持続化補助金(小規模事業者持続化補助金)<一般型・災害支援枠>2025年度の対象は?要件や採択率もチェック!_使いたい補助金・助成金・給付金があるなら補助金ポータル
公募スケジュールと申請から実績報告までの流れ

補助金を確実に受給するためには、定められた手続きの期限と手順を厳守することが不可欠です。
公募スケジュールと、申請から実績報告までの流れを紹介します。
最新の公募スケジュールと採択結果の確認方法
災害支援枠は、被災地の復興状況に合わせて不定期で受付回が設定されています。
・現在の状況
現在、第9次公募が実施されており、申請の最終締切は2026年(令和8年)3月31日までとなっています。
・申請までの具体的な流れ
(1)地域の商工会・商工会議所へ事前相談を行い、経営計画書(様式2)に対するブラッシュアップの支援を受ける。
(2)商工会等から申請に必要な支援機関確認書(様式3)の発行を受ける。
(3)補助金事務局へ、電子申請(Jグランツ)または郵送にて書類を提出する。
・採択発表
申請の締め切り後、厳正な審査が行われ、約2〜3ヶ月後に事務局の公式サイトにて採択結果が公表されます。
注意が必要なのは、事務局への最終締切日よりも1〜2週間前に、地元の商工会・商工会議所への確認書発行依頼の締切が設定されている点です。余裕を持って公募スケジュールの確認を行い、早めの行動を心がけましょう。
補助事業完了後の実績報告と証憑整理の注意点
審査に通り採択となっても、すぐにお金が振り込まれるわけではありません。採択後、計画通りに事業を行い、すべての支払いを完了したうえで、期限内に事務局へ実績報告を行う必要があります。
実績報告では、経費が適正に使用されたことを証明するため、以下の資料の提出が厳格に求められます。
【実績報告で必要となる主な書類】
・実施報告書
実際にどのような事業を行って、例えば、チラシの効果など、どのような成果が得られたかを詳細に記載します。
・経理証憑書類
見積書や発注書、納品書、請求書をはじめ、銀行振込の控えが必要です。原則として現金払いは認められず、支払いの証拠が1円でも合わないと補助金が支払われないリスクがあります。
・成果物の証拠写真
導入した機械の写真、設置した看板、配布したチラシの実物、修繕前・後の施工写真なども必ず残しておきましょう。
特に災害支援枠では、被災した資産の処分や修繕に関する証拠写真が重視されます。片付けを急ぐあまり、被害状況の写真を撮り忘れるケースが見受けられますが、証拠がないと経費として認められない可能性があるため、記録は細かく残すようにしてください。
参照:9次公募申請|小規模事業者持続化補助金<災害支援枠(令和6年能登半島地震)>
参照:小規模事業者持続化補助金 災害支援枠(令和6年能登半島地震等)採択者一覧
参照:持続化補助金(小規模事業者持続化補助金)<一般型・災害支援枠>2025年度の対象は?要件や採択率もチェック!_使いたい補助金・助成金・給付金があるなら補助金ポータル
まとめ:災害支援枠の活用に向けた準備を進めるなら社会保険労務士法人グロースアシストへ

小規模事業者持続化補助金・災害支援枠は、被災された経営者の皆様にとって、再び事業を軌道に乗せるための力強い味方となる制度です。しかし、最大200万円というまとまった公的資金を扱う以上、公募要領を熟読、内容を咀嚼したうえで、説得力のある経営計画を策定し、採択後は細かな作業が必要な実績報告に至るまで、被災後の心労が続く中、独力で行うには非常に高いハードルが待ち受けています。
「自分の地域が9次の対象になるのか」
「直接被害としてどこまで認められるのか」
「実績報告に必要な書類が揃えられるか不安だ」
このようなお悩みをお持ちの経営者様は、ぜひ社会保険労務士法人グロースアシストへご相談ください。私たちは、企業の成長と再生を支えるプロフェッショナルとして、以下のサポートを提供いたします。
・経営計画の整理に関する支援
貴社の強みや復興後の事業運営を整理し、制度活用に向けた準備を支援します。
・要件確認と必要書類の整理支援
災害支援枠の要件や必要書類を確認し、申請準備に必要な情報整理を支援します。
・実績報告・証憑整理の伴走支援
実績報告や証憑整理について、必要資料の確認や実務負担の軽減につながる支援を行います。
・労務管理や他の助成金との連携
社会保険労務士として、雇用維持に関する助成金や被災時の労務対応について、専門領域に基づく相談対応を行います。
補助金を獲得しても、復興への長い道のりを考えればスタートラインに過ぎません。私たちは、補助金活用に伴う労務面・体制整備面の支援を通じて、事業再建に向けた準備を継続的にサポートします。
詳しいサポート内容や具体的なご相談については、ぜひ公式ウェブサイトをご覧ください。