目次

  1. リスキリング支援とは何か
  2. 国の助成金と自治体補助金の違い
  3. 自治体のリスキリング支援制度の特徴とメリット
  1. 補助率や補助の上限は自治体の制度で異なる
  2. 企業向け・個人向けなど自治体独自の特徴がある
  3. 国の助成金と併用できるメリットも
  4. 2026年版 自治体別リスキリング支援制度一覧
  1. 東京都
  2. 広島県
  3. 富山県
  4. 名古屋市
  5. 泉佐野市
  6. 自治体別リスキリング支援制度一覧表(2026年度版)
  7. 各自治体で使えるリスキリング支援制度の探し方
  1. 自治体公式サイトで探す方法
  2. 商工会議所・支援機関を活用する
  3. 検索で効率よく探すコツ
  4. リスキリング助成金・補助金を使う際の注意点
  5. 申請前に必ず確認すべきポイント
  6. まとめ:自治体ごとの制度を比較して最適な支援を選ぼう

企業や個人がリスキリングに取り組もうとして助成や支援を受けようと考えた際、最初に思い浮かぶのは厚生労働省「人材開発支援助成金」や経済産業省「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」など国の支援制度ではないでしょうか。

実はそれ以外に、地方自治体、つまり都道府県や市区町村が独自に設ける支援制度も存在します。このような自治体の支援制度を活用し、国の助成金と組み合わせることで、受給額の引き上げや人材育成コストの削減につなげることが可能になります。本記事では、2026年(令和8年)度にリスキリング支援制度を実施している自治体を紹介しています。

参照:

人材開発支援助成金(人材育成支援コース、教育訓練休暇等付与コース、人への投資促進コース、事業展開等リスキリング支援コース)申請書類(令和8年3月~)|厚生労働省

リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業

中小企業省力化投資補助金

リスキリング支援とは何か

リスキリングについては、関連記事「リスキリングとは?意味・政府の推進理由・補助金制度を解説」で、さらに国の支援制度については「人材開発支援助成金の制度概要・申請方法をわかりやすく解説」「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業の補助金を解説」で詳しく解説しています。

国の助成金と自治体補助金の違い

国の助成金(人材開発支援助成金など)は全国一律のルールで運用され、実施計画の策定や専任担当者の選任、研修の結果報告など、一定の手続き負担が伴います。一方、自治体独自の補助金は地域の実情に合わせた柔軟な設計が多く、比較的短時間の研修や費用規模の小さな訓練などに対応しているケースがあります。また、国の助成金が「事後払い」(訓練実施後に申請)である場合が多いのに対し、自治体によっては事前に交付決定を受けてから訓練に入る方式を採用しているところもあります。両方を併用する際は手続きの順番を間違えないよう注意が必要です。

自治体のリスキリング支援制度の特徴とメリット

補助率や補助の上限は自治体の制度で異なる

自治体のリスキリング補助金は、補助率や上限額が制度ごとに大きく異なります。東京都のDXリスキリング助成金は受講経費の4分の3(75%)を補助し、1社あたり年間100万円まで申請できます。富山県の「とやま人材リスキリング補助金」も同じく経費の4分の3補助に加えて賃金補助が設けられており、上限は同じく100万円です。ただ、補助率が同じに見えても、制度の内容は各自治体で異なり、対象となる経費の範囲や1人当たりの上限額、付随する賃金補助の有無などで実際に受け取れる金額は変わります。自社の研修計画に当てはめながら試算することをおすすめします。

企業向け・個人向けなど自治体独自の特徴がある

自治体の支援制度は、企業(事業主)向けだけでなく、自治体居住者向けのものも存在しています。後ほど詳しく解説しますが、東京都・富山県・広島県の制度はいずれも企業向けですが、大阪府泉佐野市の「リスキリングチャレンジ支援金」は市民が資格取得に挑戦する費用を個人に直接補助する制度です。なお、「人材開発支援助成金は個人でも使える?」も参考にしてください。

国の助成金と併用できるメリットも

助成金について「同一の経費を重複して申請することはできない」という原則があります。一方、リスキリングに関する異なる経費を対象とすることで実質的に併用できるケースや、申請手続き費用を自治体が補助するという組み合わせ方も存在します。広島県の「人材開発支援助成金活用支援補助金」はその代表例で、国の助成金を使いながら申請事務コストを自治体が肩代わりしてくれる仕組みです。制度ごとの要件を確認したうえで活用方法を検討しましょう。

2026年版 自治体別リスキリング支援制度一覧

東京都

東京都(公益財団法人東京しごと財団)が実施する「DXリスキリング助成金」は、都内の中小企業・個人事業主が従業員にDX関連の研修を実施した場合、その費用の一部を助成する制度です。対象は教育機関が計画したレディメイド研修(公開研修)、または企業が教育機関に委託するオーダーメイド研修で、eラーニングも含まれます。

交付申請の受付期間は2026年3月1日から2027年2月28日まで(予算上限到達時に終了)、対象研修期間は2026年4月1日から2027年3月31日に開始する研修(修了期限は2027年8月31日)です。助成率は対象経費の4分の3、1人1研修あたり75,000円・1社あたり年間100万円が上限で、上限額に達するまで複数回申請できます。申請期限は原則として研修開始の1か月前まで、申請は電子申請(Jグランツ)または郵送で受け付けており、支給は実績報告後の後払いです。

参照:令和8年度DXリスキリング助成金:東京しごと財団

広島県

広島県では「リスキリング人材育成補助金」と「人材開発支援助成金活用支援補助金」の2つの制度を実施しています。

「リスキリング人材育成補助金」は、県内に本社・本店を置く企業等が雇用期間の定めのない従業員を国内の大学・大学院・研修機関等へ派遣し、経営戦略の実現に必要な知識・技術等を習得させる費用を補助するものです。「広島県リスキリング推進宣言企業」であることが要件で、中小・中堅企業のほか、医療・社会福祉・学校などの法人も対象です。2026年度は補助率3分の2(条件により最大4分の3)・上限額は最大200万円で、短期研修ではなく6か月以上の通学または滞在型研修が要件です。他の補助金との併用は原則不可、支給は事業完了後の後払いです。

「人材開発支援助成金活用支援補助金」は、国の人材開発支援助成金(人への投資促進コース・事業展開等リスキリング支援コース等)を活用する際の申請事務等を社会保険労務士等に委託する費用を補助するものです。補助率は5分の4・上限50万円で、2027年3月31日までに事業を完了することが必要です。国の助成金を使いながら申請コストを軽減できる点が特徴です。

参照:

経営戦略に直結する人材育成を、県が支援。~令和8年度リスキリング人材育成補助金について~ – 人的資本経営ひろしま。リスキリング | 広島県

令和8年度広島県人材開発支援助成金活用支援補助金について – 人的資本経営ひろしま。リスキリング | 広島県

広島県リスキリング推進宣言制度をご活用ください – 人的資本経営ひろしま。リスキリング | 広島県

富山県

富山県の「とやま人材リスキリング補助金」は、県内企業のリスキリング経費の一部を補助する制度です。国の人材開発支援助成金の対象とならない10時間未満の短期教育訓練を補助対象としており、国の制度を補完する位置づけとなっています。

2026年度は2027年2月26日まで(または研修終了後3か月以内の早い方)が申請期限の通年募集で、予算上限に達し次第終了です。補助率は受講料等の4分の3(75%)、賃金補助は1人1時間あたり1,000円、上限は1社1年度あたり100万円です。夜間・休日の研修も条件付きで対象になります。他の公的補助金との重複申請は原則不可で、支給は実績報告後の後払いです。

参照:富山県/「とやま人材リスキリング補助金」のご案内

名古屋市

名古屋市では、講座型支援と補助金制度の両面からリスキリング施策を展開しています。

「名古屋市デジタル人材育成事業」は補助金給付型ではなく、市内中小企業の経営者などを対象にDX推進のための専門人材育成講座を無料または低コストで提供するもので、年度ごとに開催されます。

補助金として活用できるのが「中小企業デジタル活用支援補助金」です。市内中小企業・個人事業主がデジタル技術を活用した販路開拓・生産性向上等を目指す事業に対し、経費の一部(補助率1/2)を補助します。申請区分は通常枠(上限100万円)・賃上げ枠(上限150万円)・ロボット枠(上限500万円)の3種類で、ロボット枠は自動化装置等の導入も対象です。申請には名古屋市新事業支援センターまたは名古屋商工会議所での事前相談が必須で、審査制のため採択が保証されるわけではありません。支給は事業完了後の後払い型で、交付決定前に発生した費用は対象外です。

参照:

名古屋市デジタル人材育成事業|名古屋市公式ウェブサイト

中小企業デジタル活用支援補助金|公益財団法人 名古屋産業振興公社

泉佐野市

泉佐野市の「リスキリングチャレンジ支援金」は、AIなど技術革新に対応するリスキリングを目指す泉佐野市民を個人として支援する珍しい制度で、「講座受講型」と「資格取得型」の2種類があります。

「講座受講型」は、経済産業省が実施するリスキリングを通じたキャリアアップ支援事業の指定講座を修了した市民に対し、一律3万円の支援金を給付するものです。2026年度中に講座を修了した個人が対象で、申請期限は2027年3月31日まで、オンラインで申請できます。「資格取得型」は、ITパスポートや基本情報技術者などIT・デジタル系資格の受験費用を補助するもので、合否に関わらず受験料の70%(上限2万円)が給付されます。申請期限は受験日から4か月以内または2027年3月31日のいずれか早い日です。いずれも後払い(事後申請)のため、修了証や領収書などの書類準備が必要です。

参照:【令和8年度】泉佐野市リスキリングチャレンジ支援金

自治体別リスキリング支援制度一覧表(2026年度版)

自治体制度名対象補助率・金額申請期限備考 
東京都DXリスキリング助成金(東京しごと財団)都内の中小企業・個人事業主(従業員向けDX研修)経費の75%、1人1研修あたり上限7.5万円、1社年間上限100万円2027年2月28日まで(予算上限到達次第終了)eラーニング可。複数回申請可。申請は研修開始1か月前まで
広島県リスキリング人材育成補助金県内に本社を置く中堅・中小企業等(リスキリング推進宣言企業)経費の2/3(条件により最大3/4)、上限200万円2026年度内随時(予算上限到達次第終了)6か月以上の通学・滞在型研修が要件。他の補助金との併用原則不可
人材開発支援助成金活用支援補助金県内で国の人材開発支援助成金を活用するリスキリング推進宣言企業経費の4/5、上限50万円2027年3月31日まで(事業完了期限)社会保険労務士等への申請事務委託費を補助。国の助成金と組み合わせ可
富山県とやま人材リスキリング補助金県内の企業・個人事業主(全業種)受講料等の75%、賃金補助1人1時間あたり1,000円、1社年間上限100万円2027年2月26日まで(研修終了後3か月以内の早い方)10時間未満の短期訓練が対象。他の公的補助金との重複不可
名古屋市(愛知県)デジタル人材育成事業(専門人材育成講座)市内中小企業の経営者・経営幹部・実務担当者無料または低コスト(講座提供型・補助金ではない)2026年度も実施(例年:夏〜秋頃)DX推進人材育成が目的。補助金給付型ではない点に注意
中小企業デジタル活用支援補助金市内中小企業・個人事業主経費の1/2(通常枠:上限100万円、賃上げ枠:上限150万円、ロボット枠:上限500万円)2026年4月〜6月(通常・賃上げ枠)、〜9月末(ロボット枠)事前相談必須・審査制。交付決定前の費用は対象外
泉佐野市(大阪府)リスキリングチャレンジ支援金(資格取得型)泉佐野市民(個人)受験料の70%、上限2万円受験日から4か月以内または2027年3月31日のいずれか早い日ITパスポート等IT・デジタル系資格が対象。合否不問で支給
リスキリングチャレンジ支援金(講座受講型)泉佐野市民(個人)一律3万円(1人1回)2027年3月31日まで経産省リスキリング講座の修了が要件。個人向け給付型制度

※制度の内容は2026年4月28日時点のものです。内容は変更される場合がありますので、申請前に必ず各自治体の公式サイトでご確認ください。

各自治体で使えるリスキリング支援制度の探し方

自治体公式サイトで探す方法

最も確実なのは、自社所在地・居住地の都道府県・市区町村の公式サイトを直接確認することです。「産業振興」「中小企業支援」「人材育成」などのカテゴリを確認すると、補助金一覧ページがあるはずです。年度の変わり目(4月以降)と補正予算が組まれる秋以降は制度が追加されやすい時期です。自治体のリスキリング支援制度は補正予算によって年度途中に新設・拡充される場合があり、現時点で制度がない場合も、その後公募が始まるケースがあります。

商工会議所・支援機関を活用する

県や市など自治体にある商工会議所や中小企業支援センターも、自治体の補助金情報を収集・発信しています。商工会議所のメールマガジンや公式サイトを定期的にチェックする習慣が機会の取りこぼし防止につながります。無料の相談窓口を活用すれば、要件や手続きについてアドバイスを受けることができます。

検索で効率よく探すコツ

「都道府県名 リスキリング 補助金 令和8年度」のようにキーワードを組み合わせると公式ページがヒットしやすくなります。「助成金」「補助金」「支援金」と呼び名が異なる場合があるため、複数のキーワードで検索することが効果的です。

リスキリング助成金・補助金を使う際の注意点

複数の制度を組み合わせる際は「同一経費への重複申請禁止」ルールに特に注意が必要です。手続きの順番を誤ると受給資格を失うリスクがあります。詳しくは関連記事「人材開発支援助成金の申請書類を一覧表を使って徹底解説」を参考にしてください。

申請前に必ず確認すべきポイント

対象要件の確認が最優先です。「支援制度を実施している自治体内に本社がある」「リスキリング推進宣言企業であること」など、細かく定められている制度があります。要件を満たしていない場合、実施した訓練費用が全額自己負担になるリスクもあります。

次に申請タイミングです。多くの制度は「訓練開始前に交付申請を完了すること」を要件としており、研修を先に実施してから申請することはできません。名古屋市の中小企業デジタル活用支援補助金のように、交付決定前に発生した費用は対象外となる制度もあるため、計画段階で速やかに手続きに着手することが大切です。

また予算枠の残量にも注意が必要です。年度予算に上限があり、期間内でも予算が尽きた時点で受付が終了するものがあります。公募情報が出たら早めに動くことをおすすめします。

まとめ:自治体ごとの制度を比較して最適な支援を選ぼう

リスキリング支援は国の制度だけでなく、都道府県・市区町村の独自制度にも広がっています。東京都のDX特化型助成金、富山県の短期訓練をカバーする補助金、広島県の長期派遣型育成支援、そして名古屋市・泉佐野市のような市区町村ならではのきめ細かな取り組みなど、自治体によってアプローチはさまざまです。

「自社の研修内容・規模に合った制度を複数の視点から比較すること」と「申請前に要件と手続きの順番を確認すること」の2点が、支援制度を活用するうえで重要です。どの制度を検討すべきか、要件確認や労務面での対応に不安がある方は、ぜひグロースアシストまでご相談ください。専門チームが、人材育成・賃金制度・労務管理の観点から、制度活用に向けた整理をサポートします。 

なお、本記事に記載の制度内容は変更される場合がありますので、くわしくは各自治体や運営組織の公式サイトをご確認ください。