労務管理士の受験を考え始めたとき、「合格率が見つからない」「難易度がわからない」と戸惑う方は少なくありません。

この資格は、国家資格の社会保険労務士(社労士)とは違い、合格率の数字が公開されていません。難易度の実態がつかみにくいぶん、試験の全体像を先に押さえておくと、受験すべきかどうかの判断がしやすくなります。

本記事では、労務管理士における資格試験の実態、合格率、社労士と試験との難易度比較について解説します。合格後の手続きにも触れますので、ぜひ参考にしてください。

労務管理士の合格率は非公開?試験の実態

労務管理士の合格率は、2級・1級ともに認定団体から公表されていません。ただし、受講経験者の声や試験の仕組みを手がかりにすれば、おおよその難易度は推測できます。ここでは2級と1級それぞれの合格率の実情と、数字が出てこない背景を確認します。

2級の合格率は非公開(受講・再受験可で高めと推測)

2級の合格率は公表されておらず、認定団体である一般社団法人日本人材育成協会の公式サイトにも数値の記載はありません。ただし、講座受講後に試験を受ける形式で再受験も可能なため、実際の合格率は高めと推測されています。

出題範囲は同協会の公開認定講座やWeb資格認定講座の内容に沿っているため、講義とテキストをひと通り復習すれば合格基準に届きやすいでしょう。ただし、業務で労務管理にほとんど関わっていない方は、事前学習なしだと苦戦しやすくなります。テキストをひと通り復習してから試験に臨んでください。

合格率が非公開なのは民間資格の運営事情

国家資格と民間資格では、試験の運営方法そのものが大きく異なります。たとえば、社労士試験のように法令にもとづく国家資格では、受験者数や合格率が毎年公式に公表されています。

一方、民間資格にはその義務がなく、労務管理士を認定する日本人材育成協会も公式サイトに合格率の記載はありません。受験を考えている方が数字で難易度を測ろうとしても、手がかりがないのが現状です。

とはいえ、何もヒントがないわけではないのです。詳しくは後述しますが、過去の合格基準点や試験形式から確認してみると、受験のイメージをつかみやすいでしょう。

社労士と労務管理士の合格率の違い

労務管理士と社労士では、試験難易度に大きな差があります。以下をご覧ください。

比較項目社会保険労務士(社労士)労務管理士(2級)
資格区分国家資格民間資格
所管・認定厚生労働省各認定団体(日本人材育成協会など)
合格率近年は5〜7%台(令和7年度は5.5%)非公表(講座受講・再受験可のため高めと推測)
受験資格学歴・実務経験などの条件あり満20歳以上(学歴不問)

厚生労働省の発表によると、令和7年度の社労士試験(第57回)は受験者43,421人に対し合格者2,376人で、合格率は約5.5%でした。

一方、労務管理士は総得点70点以上で合格となるため、講座の内容をひと通り復習すれば十分に合格を狙えます。社労士ほどの難易度ではないため、労務管理を基礎から学びたい方にとって始めやすい資格です。

出典:厚生労働省「第57回社会保険労務士試験の合格者発表」

労務管理士の合格基準点と試験の仕組み

合格率は非公表でも、合格基準点と出題形式は公式サイトで公開されています。その基準点を把握しておけば、何点取ればよいかを逆算できるはずです。仕組みとともに解説します。

労務管理士資格とは?

労務管理士は、労働基準法や職場の労務管理に関する知識を証明する民間資格です。一般社団法人日本人材育成協会が認定しており、公式規約では20歳以上の年齢要件が定められています。

資格には2級と1級があり、1級は2級合格者のみが受験できる上位資格です。それぞれの違いを表で確認しましょう。

項目2級1級
受験資格20歳以上(学歴・経歴不問)2級合格者のみ
合格基準後述資格者研修の成績+昇級審査試験の合格
取得の流れ講座受講→認定試験合格2級合格→資格者研修→昇級審査試験合格
費用(税込)受講料8,000円〜/別途登録料20,000円20,000円(昇級審査料)

1級は研修と試験の両方をクリアする必要があるため、2級よりも準備の負担は大きくなります。まずは2級から取り組み、段階的に1級を目指すのが一般的です。

合格基準点は20問中14問正解

2級労務管理士は、日本人材育成協会のWeb資格認定試験に合格すると取得できます。試験は10項目×各2問の計20問で構成されており、配点は1問5点の100点満点です。合格には70点以上(14問以上の正解)が必要となります。

出題は選択式が中心で、以下のテーマから問われます。

  • 労働基準法の総則
  • 労働契約
  • 退職と解雇
  • 賃金
  • 労働時間
  • 休憩・休日
  • 年次有給休暇
  • 年少者等
  • 就業規則
  • その他(減給・罰則など)

講座で学ぶ内容と出題範囲がほぼ重なるため、テキストと講義動画を一通り復習すれば基準点に届きやすい試験です。Web試験の所要時間は20分と短いため、一問ずつ落ち着いて取り組みましょう。

労務管理士資格の取得方法

日本人材育成協会の労務管理士資格には、公開認定講座・Web講座・書類審査の3つの取得ルートがあります。以下、ルートごとの合格しやすさや費用を比較します。

公開認定講座

講義・試験・質疑が1日にまとまった対面型の講座です。全国各地で定期開催されており、学んだ内容をその日のうちに試験で確認する流れとなっています。出題範囲を講師から直接学んだ直後に受験するため、3ルートのなかで最も合格しやすいとされています。

受講料は10,000円(税込)で、公式には「受講料および受験料」として案内されています(登録を行う場合は別途登録料20,000円と会費が必要です)。わからない箇所をその場で質問できるのも、独学にはないメリットです。「対面で教わるほうが理解しやすい」と感じる方におすすめします。

Web・通信講座

Web資格認定講座と通信研修は、自宅で学習から受験まで完結できるルートです。特にWeb講座は受講料が8,000円(税込)とリーズナブルで、テキスト・資料・試験費用もすべて含まれています。スマートフォンで動画を視聴できるため、通勤時間や休憩中のすき間時間に学習を進められます。

ただし、学習ペースを自分で管理する必要があります。期間が空くと内容を忘れやすくなるため、講座開始から1〜2か月以内に受験を済ませましょう。

書類審査(実務経験者向け)

労務管理の実務経験が豊富な方には、職務経歴書や担当業務の内容をもとに書類審査だけで認定を受けられるルートがあります。人事・総務部門で労務管理を継続的に担当してきた経歴や、関連資格・研修の履修実績が評価の対象です。

労務管理士の合格後に必要な手続き

合格から登録、実務への活用までの流れを、手続き・費用・活用方法の3つに分けて解説します。全体像を先に押さえておくと、準備のつまずきを防ぎやすくなるでしょう。

登録手続きと費用

労務管理士に合格して登録を済ませると、登録證・認定書・身分証明書・バッジの4点が届きます。登録にかかる費用は以下のとおりです。

費用項目金額
登録料20,000円
年会費10,000円(年一括払い)
月会費1,000円(月払いの場合/年間12,000円)

年一括払いなら10,000円、月払いだと年間12,000円のため、年一括のほうが2,000円安くなります。資格を維持するには会費の支払いを続ける必要があるため、長期的なコストとして見積もっておきましょう。なお、1級への昇級を目指す場合は、昇級審査料20,000円が別途必要です。

資格取得後の生かし方

労務管理士資格は名刺や履歴書に記載できるため、社内で「労務管理の基礎を学んだ証」として示しやすくなります。転職活動や異動希望の場面でも、労務知識を正しく学んだ実績として評価されやすいでしょう。

日常業務では、ハラスメント相談への初動対応や就業規則の読み解きなど、現場で役立つ場面も少なくありません。資格取得をゴールにせず、日々の業務で活かす意識を持っておくと、費用対効果は高まります。

よくある質問

労務管理士の合格率や受験について、検討段階でよく寄せられる疑問をまとめました。

Q. 労務管理士の認定団体は?

労務管理士資格を一次情報で認定実態が確認できるのは、一般社団法人日本人材育成協会です。

  • 一般社団法人日本人材育成協会(jinzai.org)

一部の資格系メディアでは日本経営管理協会も併記されますが、同協会の公式サイトには労務管理士の記載が見当たらず、認定実態は確認できません。本記事で解説しているのは、Web資格認定試験(20問・70点以上で合格)を実施する日本人材育成協会の労務管理士です。

受講を検討する際は、公式サイトで認定団体と試験内容を確認してから申し込みましょう。類似名称の団体との混同を避けるためにも、一次情報の確認が欠かせません。

Q. 労務管理士は誰でも取れる?

日本人材育成協会が認定する2級労務管理士の受験資格は、満20歳以上であることのみです。学歴や職歴、実務経験による制限はなく、人事・総務の経験がない方でも受験できます。

ただし、準備なしで合格基準点の70点以上を安定して超えるのは簡単ではありません。労務管理の用語や労働基準法の基礎に馴染みがない方は、講座のテキストを読み込み、要点をまとめながら学習を進めましょう。

Q. 勉強時間はどのくらい必要?

合格に必要な学習時間は、実務経験の有無で幅があります。公開認定講座は1回3時間程度で講義と試験が完結し、Web講座もeラーニング形式で設計されているため、経験者であれば講座受講のみで対応できるとされています。

公開認定講座を選べば1日で講義と試験が完結するため、事前にテキストを読み込んでおくだけで合格を狙えるケースもあるでしょう。Web講座や通信研修で学ぶ場合は、1〜2か月ほどかけて自分のペースで進めるのがおすすめです。

Q. 合格を目指しやすい資格でも取得する意味はある?

労務管理士で学ぶ内容は現場の実務知識が中心のため、合格率の高さに関係なく取得する意味はあります。労働基準法の基礎、勤怠管理、労働条件の整備、ハラスメント対応など、日々の業務に直結するテーマを体系的に学べるためです。

試験の難易度よりも、学んだ知識を業務にどう取り入れるかがキャリアの選択肢を広げます。転職・異動の際のアピール材料や、社内での相談対応にも十分役立つ資格です。

まとめ:労務管理士の合格率を踏まえて受験を検討しよう

労務管理士の合格率は非公開ですが、2級は合格基準点70点以上と明確に示されており、講座でしっかりと学べば合格を狙える資格です。合格率5.5%(令和7年度)の社会保険労務士と比べると、労務管理士は入門的な資格といえます。

「労務の知識をまとめて学び直したい」「社内で労務相談に自信を持って応えたい」と感じている方は、まず2級の公開認定講座から検討してみてください。申込方法や開催日程は公式ウェブサイトで確認できます。関連コラムもあわせて読むと、自分に合った学び方が具体的に見えてくるでしょう。

参照

一般社団法人日本人材育成協会「労務管理士受験方法」 

一般社団法人日本人材育成協会「Web資格認定試験:詳細」 

一般社団法人日本人材育成協会「資格登録・入会」 

厚生労働省「労働基準関係リーフレット」