助金は売上とは性質が異なるお金であり、消費税の扱いや収益計上のタイミング、さらには返還が必要になった場合の処理まで、通常の取引とは違うルールが存在します。そのため、国や自治体から補助金を受け取った際、どの勘定科目で仕訳をすればよいのか迷うケースは少なくありません。

この記事では、補助金の基本的な勘定科目の考え方から、個人事業主・法人それぞれの仕訳例、税務上の注意点までを整理して解説します。

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補助金の勘定科目は何を使う?基本は「雑収入」で処理する

補助金を受け取った際の勘定科目には、原則として「雑収入」を用います。雑収入とは、本業の売上以外で発生する、金額的な重要性が比較的低い収益を処理するの勘定科目です。

補助金は事業のために交付されるお金ですが、商品やサービスの対価として得る収益ではありません。よって、本業の売上高とは区別して計上する必要があります。

補助金・助成金・支援金・協力金の勘定科目はどう考える?

補助金のほかにも、助成金・支援金・協力金など、さまざまな名称の公的な給付制度があります。名称は異なりますが、いずれも国や自治体などから事業者に交付されるお金である点は共通しています。

そのため、会計処理に用いる勘定科目についても、原則として同様の考え方で処理します。制度上の名称や交付条件に違いがあっても、会計上は同じ枠組みで捉えられるケースが一般的です。

雑収入・補助金収入・国庫補助金等を使い分けるポイント

多くの会計ソフトでは、「雑収入」が初期設定の勘定科目として用意されています。ただし、補助金を受け取る件数が多い事業者や、決算書上で補助金による収入を区分して把握したい場合は、「補助金収入」などの勘定科目を独自に設定して使用することもあります。

固定資産の取得に充てた補助金については、「国庫補助金等」などの科目を使用し、圧縮記帳の処理に対応させて管理するケースもあります。

使用する科目は、会計ソフトや社内の勘定科目体系によって異なりますが、いずれも本業の売上と区別して管理するという考え方は共通しています。補助金を受け取る件数が少ない場合は、無理に科目を増やさず、「雑収入」に一本化したほうがシンプルで管理しやすいでしょう。

補助金入金時の仕訳例を個人事業主・法人別に解説

補助金入金時の仕訳例を個人事業主・法人別に解説

補助金が実際に入金されたタイミングでの仕訳は、個人事業主と法人で使う勘定科目が一部異なります。個人事業主・法人別に仕訳例を確認しましょう。

個人事業主が補助金を受け取ったときの仕訳例

個人事業主の場合、補助金が事業用口座とプライベート用口座のどちらに入金されたかによって、仕訳が異なります。事業用口座に50万円のIT導入補助金が振り込まれた場合は、以下のように処理します。

借方金額貸方金額
普通預金500,000円雑収入500,000円

プライベート用口座に同額の補助金が振り込まれた場合は、借方に「事業主貸」、貸方に「雑収入」を計上する方法が一般的です。

借方金額貸方金額
事業主貸500,000円雑収入500,000円

また、事業に関係のない給付金をプライベート用口座から事業用口座へ移した場合は、「事業主借」を用いて処理します。

法人が補助金を受け取ったときの仕訳例

法人の場合は、個人事業主のように「事業主貸」や「事業主借」の勘定科目は使用しません。法人名義の預金口座に助成金が振り込まれた場合は、原則として「普通預金」と「雑収入」を用いて処理します。

雇用関連の助成金30万円が振り込まれた場合は、以下のように仕訳します。

借方金額貸方金額
普通預金300,000円雑収入300,000円

法人税の計算上、助成金による収入は原則として益金に算入されます。決算や法人税の申告に備えて、助成金の金額や内訳を正確に把握しておくことが重要です。

補助金の入金時に会計ソフトへ入力する際のポイント

会計ソフトによっては、「雑収入」の消費税区分が初期設定で「課税売上」などになっている場合があります。補助金は、商品やサービスの提供に対する対価ではないので、原則として消費税の課税対象外です。そのため、入力時には税区分を「対象外」に設定する必要があります。

この設定を見落とすと、消費税の申告額に誤りが生じる可能性があります。仕訳を入力する際は、その都度、税区分が適切に設定されているか確認する習慣をつけておくと安心です。

補助金の支給決定から入金までに使う未収入金の処理

補助金は、交付決定の通知が届いてから実際に入金されるまでに数か月のタイムラグが生じることが珍しくありません。そのため、タイムラグをどう処理するかによって、使う勘定科目が変わります。

補助金の交付決定時に未収入金で仕訳するケース

収益が確定していても入金されていない場合は、「未収入金」を用いて処理します。未収入金とは、営業取引以外から生じた、将来受け取る予定の金銭債権を表す勘定科目です。

補助金額が200万円に確定した場合は、以下のように仕訳します。

借方金額貸方金額
未収入金2,000,000円雑収入2,000,000円

その後、補助金が入金された場合は、次のように処理します。

借方金額貸方金額
普通預金2,000,000円未収入金2,000,000円

決算をまたがず、入金までの期間が短い場合は、入金日に一括して雑収入を計上するだけでも実務上大きな問題にはなりません。

期またぎで補助金が入金される場合の決算処理

補助金を収益として計上すべき時点と実際の入金日が決算期をまたぐ場合は、未収入金を用いて処理します。

たとえば、3月決算の会社が3月中に補助金額の確定通知を受け取り、実際の入金が翌期の5月になる場合は、3月時点で未収入金と雑収入を計上し、当期の利益に反映させなければなりません。

この処理を怠ると、収益を計上する事業年度がずれ、決算書の数値や法人税額の計算に影響が生じる可能性があります。

補助金の消費税区分はどうなる?課税対象外となる理由を解説

補助金の消費税区分はどうなる?課税対象外となる理由を解説

補助金や助成金として受け取った収入は、原則として消費税の課税対象外です。ただし、制度の名称や支給元だけで判断せず、取引の実態を確認することがポイントです。

ここでは、補助金収入が課税されない理由と、補助金・助成金の種類別の消費税区分を一覧で解説します。

補助金収入が消費税の課税売上にあたらない理由

消費税は、商品の販売やサービスの提供といった資産の譲渡等に対して課される税金です。補助金は、何かを販売した対価として受け取るお金ではなく、国や自治体からの一方的な給付であり、消費税法上の「資産の譲渡等の対価」に該当しません。

そのため、補助金収入には消費税がかからず、「不課税取引」として扱われます。

補助金・助成金の種類別に見る消費税区分の一覧

代表的な補助金・助成金における消費税区分は以下のとおりです。

補助金・助成金の種類主な制度例消費税区分判断のポイント
設備投資に関する補助金ものづくり補助金、省力化投資補助金課税対象外設備を導入する事業者への支援であり、商品の販売対価ではない
IT・デジタル化に関する補助金IT導入補助金課税対象外システム導入を支援する給付であり、役務提供の対価ではない
研究開発に関する補助金研究開発補助金、新技術開発助成金原則として課税対象外研究成果の納品や権利譲渡の対価になっていないことが条件
販売実績などに応じた奨励金販売奨励金、販売促進リベート課税対象となる場合がある販売数量や業務実績に応じて支払われる場合は、取引の対価や売上値引きとして扱う可能性がある

参照元

トップページ|ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公式ホームページ ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金総合サイト

中小企業省力化投資補助金

トップページ | デジタル化・AI導入補助金2026

研究開発系補助金・助成金一覧 – 研究開発系補助金のスペシャリスト アライブ ビジネス

新製品・新技術開発助成事業 | 東京都中小企業振興公社

販売奨励金(いわゆるリベート等)について

なお、補助金を使って課税仕入れ(設備購入や外注費の支払いなど)を行った場合、その支出自体には通常どおり消費税がかかります。補助金そのものが不課税である点と、補助金の使い道にかかる支出の課税区分は別問題であるため、混同しないよう注意しましょう。

補助金を返還・返金する場合の勘定科目と仕訳方法

補助金は原則として返還不要ですが、交付要件を満たさなくなった場合や、目的外に使用した場合などには返還を求められることがあります。返還時の処理は見落とされがちなポイントであるため、正しい仕訳を理解しておくとよいでしょう。

目的外使用・過払い・交付取消しなど返還理由別の仕訳例

当期中に雑収入として計上した補助金を、同じ事業年度内に返還する場合は、雑収入の計上を取り消す仕訳が必要です。

補助金50万円を返還した場合は、以下のように処理します。

借方金額貸方金額
雑収入500,000円普通預金500,000円

補助金が過大に交付されていたことが判明し、その一部を同じ事業年度内に返還する場合も、返還額に相当する雑収入を減額します。

また、入金前に交付決定が取り消され、補助金を受け取る権利が消滅した場合は、未収入金と雑収入の計上を取り消します。

前期に計上済みの補助金を返還する場合の修正処理

前期に収益として計上した補助金について、翌期以降に新たな事実によって返還義務が確定した場合は、前期に計上した雑収入を当期に直接取り消差ないようにしましょう。処理する際は、「雑損失」などの勘定科目を用いて当期の損失として対応します。

補助金30万円を返還した場合は、以下のように仕訳します。

借方金額貸方金額
雑損失300,000円普通預金300,000円

前期の決算時点ですでに返還義務が生じていたにもかかわらず計上していなかったなど、前期の会計処理自体に誤りがあった場合は、単純に当期の雑損失として処理できるとは限りません。返還の原因や確定した時期を確認したうえで、適切な処理を判断する必要があります。

健康診断助成金・農業補助金など用途別・制度別の勘定科目と仕訳例

補助金には多様な制度があり、用途によって処理の考え方が少しずつ異なります。ここでは、代表的な2例を紹介します。

健康診断費用に対する助成金を受け取った場合の処理

従業員の健康診断費用の一部について、健康保険組合などから助成金を受け取ることがあります。この場合、健康診断にかかった費用は「福利厚生費」として計上し、後日受け取る助成金は「雑収入」で処理します。

健康診断費用10万円を支払い、後日助成金3万円を受け取った場合の処理は以下のとおりです。

借方金額貸方金額
福利厚生費100,000円普通預金100,000円
普通預金30,000円雑収入30,000円

健康診断費用と助成金収入をそれぞれ計上することで、会社が負担した費用の総額と、受け取った助成金の金額を区分して把握しやすくなります。

ただし、助成額があらかじめ健診費用から差し引かれ、会社が自己負担額のみを支払う制度では、実際に支払った金額を福利厚生費として計上します。

農業補助金や設備投資補助金を受け取った場合の処理

農業関連の補助金や、機械・設備の購入を目的とした補助金は、金額が高額になりやすいことが特徴です。

補助金を受け取った場合は、原則として「雑収入」などの勘定科目を用いて収益を計上します。ただし、固定資産の取得や改良を目的とする補助金を受け取り、一定の要件を満たす場合は、「圧縮記帳」の適用を検討できます。

圧縮記帳を適用すると、その後の減価償却費や課税所得の計算に影響するため、高額な設備投資補助金を受け取った際は慎重に検討しましょう。

補助金収入の税務上の取り扱いと申告時の注意点

補助金収入の税務上の取り扱いと申告時の注意点

補助金を受け取った場合は、消費税だけでなく、所得税や法人税の取り扱いにも注意しましょう。補助金は原則として所得税や法人税の課税対象となりますが、受給者が個人事業主か法人かによって、所得の区分や税務上の処理が異なります。

また、設備投資に充てる補助金は圧縮記帳を利用できる場合がある一方、人件費や広告費の補填では利用できないケースがあります。

補助金が所得税・法人税の課税対象になるケース

事業に関して受け取る補助金は、法人の場合は原則として法人税の計算上の益金に、個人事業主の場合は所得税の計算上の総収入金額に算入されます。

補助金を受け取った事業年度の所得が増加すれば、法人税や所得税などの納税額にも影響する可能性があります。そのため、「補助金には税金がかからない」と考えて資金計画を立てると、後から想定していなかった納税負担が生じることも少なくありません。

補助金を受け取った際は、税負担が発生する可能性も考慮し、余裕を持って資金繰りを計画しておくように心がけましょう。

圧縮記帳が使える補助金と使えない補助金の違い

圧縮記帳は、国庫補助金等を用いて固定資産を取得または改良した場合に、税務上の一定の要件を満たすことで適用できる制度です。

対象となるのは、国や地方公共団体からの補助金で、かつ固定資産の取得や改良に充てられたものに限られます。一方で、運転資金や人件費の補填を目的とした補助金・助成金には、原則として圧縮記帳は適用されません。

※国や自治体の補助金で固定資産を取得した場合でも、法令で指定された「国庫補助金等」に該当しないものは対象外となる

圧縮記帳を適用すると、固定資産を取得した年度の課税所得を抑え、税負担を将来に繰り延べることが可能です。しかし、その後の減価償却費が少なくなるため、将来の各期にわたって課税所得が増える可能性が生まれる点には注意が必要です。

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【まとめ】補助金の勘定科目は入金時・返還時・税務処理まで確認して正しく仕訳しよう

補助金の勘定科目には、基本的に「雑収入」を用います。

補助金を収益として計上すべき時期と実際の入金日が異なる場合は、「未収入金」を用いて処理します。とくに決算期をまたぐ場合は、補助金の交付要綱や通知書を確認し、受給する権利と金額が確定した事業年度に適切に計上しましょう。

補助金の種類ごとの会計処理や圧縮記帳の適用可否も含めて全体像を理解しておくことが、迷わず適切に仕訳できるようになる鍵となります。

もし、この記事をきっかけに補助金に関する情報をさらに深く知りたい方がいましたら、社会保険労務士法人グロースアシストをチェックしてみてはいかがでしょうか。