「日本政策金融公庫の融資の金利は安い」と聞いて調べ始めたのに、サイトによって数字がバラバラで、結局いくらなのか判断しづらいと感じていませんか。記事ごとに「高い」「安い」と評価が分かれていて、自分のケースに当てはめにくいのが正直なところだと思います。

金利の見方を誤ると、本来もっと低い利率で借りられたはずなのに、総返済額が膨らんでしまうこともあります。

この記事では、2026年8月3日現在の日本政策金融公庫公式の最新利率をもとに、基準利率と特別利率の種類、担保あり・なしの金利差、返済期間や据置期間が総返済額に与える影響、法人・個人事業主の違いまで整理します。

日本政策金融公庫の融資の金利は高い?

2026年6月時点の無担保の基準利率は年3.45〜5.20%で、条件を満たせば民間銀行より低く借りられる場合もあります。

日本政策金融公庫の事業資金の金利は、「基準利率」と「特別利率」の2種類に分かれます。基準利率は優遇のない標準の利率、特別利率は一定の条件を満たした人に適用される、基準利率より低い利率です。まずは現在の水準を、民間と並べて確認していきます。

公庫の金利水準

公庫の金利は、無担保か有担保か、そして税務申告を2期終えているかどうかで変わります。2026年6月1日時点の国民生活事業の基準利率は、次のとおりです。

区分基準利率(年)
無担保・税務申告2期を終えている3.50〜5.20%
無担保・税務申告2期を終えていない3.45〜5.15%
有担保2.50〜4.80%

「安い」というイメージで調べ始めた人ほど、この3〜5%台という数字に少し驚くかもしれません。

かつての低金利の感覚で「1〜2%くらい」と思っていると、実際の基準利率との差に戸惑いやすい部分です。なお、ここに示したのは基準利率で、後述する特別利率が適用されればさらに低くなります。

参照:金利情報 小規模事業者/個人事業主の方【国民生活事業】|日本政策金融公庫

基準利率と特別利率の種類

金利を解説するイメージ画像

金利は基準利率と特別利率の2種類で、女性や若者、事業の新規性などの条件を満たすと、より低い特別利率が適用されます。

基準利率は、特別な優遇がない場合に適用される標準の利率です。一方の特別利率は「特利」とも呼ばれ、政策的に支援したい対象に対して、基準利率より低く設定された利率です。どちらが適用されるかは、制度や申込者の条件によって決まります。

特別利率の種類と適用条件

特別利率には、A・B・Cなど複数の種類があります。種類ごとに利率が異なり、記号の順に一律で下がるわけではありません。条件に応じて、より低い区分が適用されます。新規開業・スタートアップ支援資金では、主に特別利率A・B・Cが想定されます。

低い特別利率が適用される主な条件は、次のとおりです。

  • 女性、または35歳未満・55歳以上の人
  • 技術やノウハウに新規性が認められる事業
  • 「中小会計」(中小企業向けの会計ルール)を適用しているなど、実務上の優遇要件を満たす場合

例えば、女性・若者・シニアに該当する人は、新規開業の場面で特別利率Aが適用される可能性があります。自分が複数の条件に当てはまる場合は、より低い区分が適用されることもあるため、当てはまる条件がないか確認してみてください。

参照:日本政策金融公庫の新規開業資金の金利はどれくらい?|コマサポ

自分の金利の見当を付ける

正確な利率は審査を経て公庫が決めますが、目安はある程度自分で絞り込めます。

「無担保か有担保か」「税務申告を2期終えているか」「どの融資制度を使うか」の3点を当てはめると、利率表のどの行を見ればよいかが見えてきます。

そのうえで、自分が満たせそうな特別利率の条件を重ねれば、現実的な金利の幅がつかめます。申し込み前には、上限と下限の両方で利息を試算しておくと、資金計画が立てやすくなります。

参照:日本政策金融公庫の金利は高い?他の資金調達方法との比較|行政書士事務所サブシディ

担保で変わる金利と判断

担保を提供すると基準利率は下限で約1.0%下がり、無担保3.50〜に対し有担保は2.50〜で借りられます。

担保を出すかどうかは、金利に直接影響します。どのくらい変わるのかを数字で押さえ、提供すべきかの判断軸を持っておきましょう。

担保あり・なしの金利差

2026年6月時点の基準利率で比べると、担保の有無による差は次のとおりです。

区分基準利率(年)
無担保(税務申告2期を終えている)3.50〜5.20%
有担保2.50〜4.80%

下限で約1.0%、上限でも0.4%ほど、有担保のほうが低くなっています。担保があると、返済できなくなったときに金融機関が回収しやすく、貸し倒れのリスクが下がるためです。担保として使えるのは、不動産や有価証券などです。

一方で、公庫には無担保・無保証で使える制度もあります。担保を出せない場合でも、選択肢が閉ざされるわけではありません。

参照:金利情報 小規模事業者/個人事業主の方【国民生活事業】|日本政策金融公庫

担保を出すべきかの判断

担保を出すと金利は下がりますが、提供した資産には回収のリスクが伴います。判断のポイントは、下げられる金利の幅(おおむね1%前後)と、その資産を担保に入れることの重さを天秤にかけることです。

借入額が小さく返済期間も短ければ、1%の差が生む利息の差は限定的です。

反対に、借入額が大きく返済期間が長いほど、同じ1%でも総利息に与える影響は大きくなり、担保提供の効果が出やすくなります。自社の借入規模と期間に照らして、具体的に試算してから決めるのが安全です。

返済期間・措置期間と総返済額

返済計画を分析する画像

返済期間や措置期間(据置期間)を長くすると毎月の返済は軽くなりますが、利息を含む総返済額はむしろ増える傾向です。

金利そのものだけでなく、どのくらいの期間で返すかも総負担を左右します。とくに措置期間は「設定すれば得」と思われがちですが、実際は注意が必要な部分です。

措置期間が総返済額に与える影響

公庫の返済期間は、新規開業・スタートアップ支援資金の場合、設備資金が据置期間を含めて20年以内、運転資金が10年以内です。ここでいう措置期間(据置期間)とは、元金の返済を待ってもらい、利息だけを支払う猶予期間を指します。創業期や業績が不安定な時期に、毎月の負担を抑える目的で使われます。

ただし、返済期間も措置期間も、長くすれば月々の支払いは軽くなる一方で、利息を含む総返済額はむしろ増える方向に働きます。措置期間中も借入残高の全額に利息がかかり続けるためです。

「毎月が楽になる」という面だけで判断すると、総額で損をしやすい点に気をつけたいところです。

参照:日本政策金融公庫の据置期間とは|資金調達ノート

法人・個人事業主と融資の選び方

日本政策金融公庫の融資相談で担当者と打ち合わせをする様子の画像

法人と個人事業主で金利に大きな差はなく、特別利率や特例制度を使えば金利を下げられます。

「法人のほうが有利な金利で借りられそう」という印象を持つ人は少なくありません。実際の仕組みを確認したうえで、金利を下げる現実的な手段を押さえておきましょう。

法人・個人事業主の金利差

公庫の融資では、法人か個人事業主かという事業形態によって金利が大きく変わることはありません。

適用される利率は、事業者の形態ではなく、事業内容や返済期間、担保の有無などの条件で決まるためです。つまり「法人だから低い」「個人事業主だから高い」という単純な差はない、と考えてよいです。

違いが出るのは、主に窓口と事業規模です。小規模事業者や個人事業主は「国民生活事業」、一定規模の中小企業は「中小企業事業」が中心の窓口になります。これから創業する人や創業間もない人なら、まずは新規開業・スタートアップ支援資金が第一候補になります。

参照:日本政策金融公庫の金利は高い?他の資金調達方法との比較|行政書士事務所サブシディ

金利を下げる方法

金利を下げる手段は、特別利率の適用だけではありません。主な方法は、次のとおりです。

  • 創業支援貸付利率特例制度:創業期の人を対象に、各融資制度の利率から一律で0.65%(雇用を拡大する場合は0.9%)引き下げ。特別利率A・B・Cとの併用もできる
  • 賃上げ貸付利率特例制度:従業員の給与等支給額が直近の決算比で2.5%以上増える見込みがある場合、融資後一定期間(2年間)0.5%引き下げ
  • 担保の提供や、創業支援貸付利率特例制度、賃上げ貸付利率特例制度など、適用できる優遇制度を確認する

複数の手段を重ねられないかという視点で、自社が使える優遇をひとつずつ確認していくのが、金利を抑える近道です。なお、引き下げ幅や適用条件は改定される場合があるため、申し込み前に最新の内容を確認してください。

参照:賃上げ貸付利率特例制度|日本政策金融公庫

参照:創業支援貸付利率特例制度/賃上げ貸付利率特例制度|日本政策金融公庫 

まとめ:資金調達する前に金利を確認する

公庫の金利は条件次第で変わるため、最新の公式利率を確認し、特別利率や特例制度を活用することが有利な資金調達につながります。法人と個人事業主で大きな金利差はなく、結局は条件をどこまで整えられるかが鍵になります。

まずは、自社がどの融資制度や特別利率の対象になるかを具体的に当てはめてみることです。

こうした資金調達が進むと、次に重要になるのが人員計画などの「労務」の問題です。労務まわりの判断に迷うときや、自社に最適な組織の仕組みづくりを相談したいときは、専門家に相談するのが確実です。社会保険労務士法人グロースアシストの公式ウェブサイトでは、労務に関する詳細なサポート内容を紹介していますので、ぜひご確認ください。